京都大が学生寮「吉田寮」(京都市左京区)の旧棟に住む学生らを相手取り、建物の明け渡しを求めた訴訟の判決が16日、京都地裁であった。松山昇平裁判長は京大側の請求を一部棄却し、寮に住む学生17人中14人の入居継続を認めた。
吉田寮は1913年築の旧棟と、2015年築の新棟があり、それぞれ京大が本部を置く吉田キャンパスの一角に位置する。旧棟は現在使用されている学生寮として国内最古とされる。
京大は旧棟に住む学生に対し、老朽化を理由に18年9月末までの退去を通告。代替の宿舎を用意するとしたが、一部の学生が「歴史的価値のある建物が壊されかねない」と応じず、19年4月に明け渡しを求めて地裁に提訴した。
京大側は訴訟で、旧棟は震度6強の地震で倒壊する恐れがあり、危険性を理由に在寮契約を解除できると主張。学生らの入居は不法占有にあたるとした。
一方、学生側は15年に当時の副学長と「寮の運営は自治会との話し合いによって決める」との確約書を交わしたとし、「大学側が老朽化対策の話し合いを一方的に打ち切った。訴訟は自治会を追い出そうとするものだ」と訴えていた。