性的暴行の疑いで逮捕・起訴の警視正が死亡、勾留中に自殺図ったか

複数の女性に性的暴行を加えたとして起訴された中国四国管区警察学校(広島市)の警視正、岩本幸一被告(58)について、広島県警は18日、勾留先の県警広島中央署の留置場で意識不明の状態で見つかり、その後に死亡したと発表した。遺書とみられる便箋が発見され、県警は自殺を図ったとみて詳しい経緯を調べている。
岩本被告は2023年11月以降、不同意性交等などの疑いで4回逮捕されている。一部の事件では起訴されており、1月下旬の初公判では無罪を主張していた。
県警によると、岩本被告は中央署に単独で留置されていた。17日午後8時19分、警察官が巡回していたところ、居室にあるトイレ内でぐったりしているのを発見。そばには衣類が残されていた。意識がなかったため、蘇生措置を実施したうえで病院に搬送したが、同49分に死亡が確認された。
倒れていたトイレ内には、遺書とみられる便箋が残されていた。県警は岩本被告を自殺などの恐れがある「特別要注意者」に指定。留置管理の警戒度を高い部類に設定していたという。今後、監視態勢などに問題がなかったか詳しく調べる方針だ。
岩本被告は23年9~10月、マッチングアプリで知り合った10~20代の女性計5人に対し、広島市内のホテルで警察官の制服を見せて脅迫。売春しないことを誓う「始末書」と題した文書を書かせて性的暴行を加えたとして、不同意性交等や強要の疑いで4回逮捕されていた。
現場での事件捜査に関わる立場ではなかったが、「組織的売春の捜査をしていた」などと容疑を否認。広島地裁で1月25日にあった初公判では「ホテルに行ったが、性交していない」と主張していた。
岩本被告は岡山県警出身。23年3月に県警生活安全企画課長から中国四国管区警察学校指導部長に就任し、学生の寮生活の指導などを担当していた。死亡について、広島県警本部の大野勝俊留置管理課長は「警察施設内でこのような事案が起きたことは誠に遺憾。再発防止に向け、原因について徹底した調査をする」とコメントした。【中村清雅、井村陸】
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