NHKに録音データの開示命じる かんぽ報道巡り 東京地裁判決

かんぽ生命保険の不正販売を報じた番組を巡り、NHK経営委員会が会長を厳重注意した際の議事録や録音データを開示すべきかが争われた訴訟の判決で、東京地裁(大竹敬人裁判長)は20日、市民グループの請求を認め、NHKに録音データの開示を命じた。さらに開示を怠ったとして、NHKと森下俊三経営委員長に計228万円を支払うように命じた。
判決によると、NHKは2018年、不正販売を追及する番組を放送。日本郵政グループの抗議を受け、経営委が同年10月、当時の上田良一会長を厳重注意した。市民側が番組介入に当たるとしてこの際の議事録の開示を求めたところ、NHKは21年7月に「正式ではない粗起こし」を開示。市民側は正式な議事録や録音データの開示を求めた。
NHK側は訴訟で「録音データは廃棄した」と主張したが、判決は、かつて録音データを保有していたことはNHK側も争っていないと指摘。NHK側には粗起こしの正確性を担保する業務上の必要性が残っており、録音データを保存する必要が無くなったとは認められないとした。
その上で、NHKの役職員が録音データを保有していると判断し、開示を怠ったとして経営委と森下委員長を非難した。正式な議事録は存在が認められないとした。
NHK広報局は「主張が認められず、遺憾」、森下委員長は「既に存在しない録音データを交付せよという判決内容であり、遺憾」とコメントし、それぞれ控訴する意向を示した。【巽賢司】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする