斎藤健経済産業相(64)は20日の閣議後の記者会見で、2025年大阪・関西万博会場に設置するトイレの一部に約2億円で契約した設備があることを明らかにした。「一般的な公衆トイレの建設費用と比べて、取り立てて高額であるとは言えない」との見解を示した。
自見英子万博相(48)も同日の会見でトイレについて言及。50~60台の便器を備えた大規模設備であるため「規模から考えれば必ずしも高額とは言えない」と指摘した。
万博を運営する日本国際博覧会協会は会場全体で約40か所の公衆トイレ施設の整備を計画。このうち8か所は今後活躍が期待される若手建築家が設計し、2か所がそれぞれ約2億円で契約されたという。
斎藤氏は「現時点で発注方針を変更する予定はないと聞いている」と説明。万博費用を点検する有識者会議を活用し「管理監督を徹底していきたい」と述べた。
大阪・関西万博の会場建設費は、国、大阪府・市、経済界がそれぞれ3分の1ずつ負担することになっている。当初は1250億円と想定されていたが、20年12月に1850億円、さらに23年10月には最大2350億円と超上方修正されていた。当初の1・9倍、527億円の大幅増。物価上昇などが主な理由だというが、一部からは「中止論」も出ている。
膨らみ続けるコストに批判が強まるなかでの「2億円デザイナーズトイレ問題」。万博が終了すれば解体される可能性が高いものに多額の費用を費やす必要があるのか、今後議論を呼びそうだ。
東京五輪前に千代田区が公衆トイレを10億円かけて36か所を高級ホテル並みに超ラグジュアリー修復。完全に解体・新築した公衆トイレもあり、その総費用は1か所につき3700万円だった。一般家庭のトイレの設置工事費は、1つにつき10万円前後、高くて30万円前後が相場。