与野党は26日、衆院の政治倫理審査会(政倫審)の公開形式を巡って断続的に協議を続けたが、結論は持ち越しとなった。2024年度予算案の衆院通過に向けた攻防は今週末にも山場を迎える見通しで、政倫審開催のあり方が駆け引き材料となっている。
「総理が指示し、自民党が対応すれば、国会(政倫審)は動く。指示しないということはやる気がないと思わざるを得ない」
立憲民主党の野田佳彦元首相は26日の衆院予算委員会で向き合った岸田首相(自民党総裁)に対し、政倫審の公開を党内に指示するよう迫った。
首相は「(政倫審は)国民に向けて説明する大変重要な場だ」としつつ、公開については「適切に国会で判断される」と述べるにとどめた。
与野党は26日、政倫審の幹事会で公開の是非を巡って議論した。自民は議員、報道関係者いずれの傍聴も許可せず、議事録の閲覧・公開も認めない「完全非公開」を主張したが、公開を求める野党は拒否した。
その後、与野党の筆頭幹事が協議に臨み、自民は議員のみ傍聴を認める「譲歩案」を提示したものの、野党はこれも受け入れなかった。与野党は27日に再び幹事会を開き、協議を行う予定だ。
政倫審を巡る与野党の対立が激しさを増す背景には、政府・与党が想定する予算案の衆院通過が近づいていることがある。
与野党は採決の前提となる中央公聴会を29日に開催することまでは合意しているが、3月1日以降の日程は白紙だ。政府・与党は予算案の年度内成立が確実となる3月2日までの衆院通過を目指しているが、野党は「裏金問題の解明が遅れているため、予算審議がまだ不十分だ」(立民・泉代表)などと簡単に応じない構えだ。
野党は証人喚問要求もちらつかせながら公開を主張し、与党に更なる譲歩を迫る方針だ。このまま与野党の調整が難航すれば、予算案の審議に影響を及ぼす可能性もある。
今国会は自民派閥の「政治とカネ」の問題を受け、野党ペースで進み、日程は窮屈となっている。自民幹部は「(2日まで)1日も余裕がない状況だ」と危機感を漏らしている。