恋愛感情を抱かせ金銭をだまし取るロマンス詐欺の被害金回収をうたい、広告会社に弁護士の名義を使わせた疑いがあるとして、大阪地検特捜部が、弁護士法違反容疑で川口正輝弁護士(38)=大阪弁護士会=の所属する大阪市北区天神橋の「G&C債権回収法律事務所」を捜索していたことが28日、関係者への取材で分かった。押収した資料を解析し、立件の可否を検討するとみられる。
川口弁護士について、大阪弁護士会は昨年12月、同法違反の疑いがあるとして同年10月に懲戒請求を行ったことを公表。弁護士会によると、令和4年8月以降、被害金の回収を名目に1800人以上から計9億円超の着手金を受け取ったと推計されるが、回収が確認できたのは10人程度だった。
弁護士会によると、川口弁護士は詐欺の被害金回収などを請け負う専用サイトを開設。電話やLINE(ライン)で相談を募っていたが、実際の対応は法律事務を行う資格のない業務委託先の広告会社関係者に任せていた。回収が難しいケースでも、高額の回収が可能との誤解が生じかねない宣伝もしていたという。
ロマンス詐欺を巡っては、実績を誇張した弁護士事務所の広告がネット上に多数掲載され、各地の弁護士会が注意を呼びかける事態となっている。