玉城知事「門前払いは極めて残念」 辺野古代執行訴訟、敗訴確定

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画を巡り、国土交通相が玉城デニー知事に軟弱地盤の改良工事の設計変更申請を承認するよう求めた代執行訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は2月29日付で、県側の上告を退ける決定をした。県側を敗訴とし、国交相が知事に代わって承認する代執行を可能とした福岡高裁那覇支部判決(2023年12月)が確定した。
代執行訴訟での県敗訴確定を受け、沖縄県の玉城デニー知事は1日夜、報道陣の取材に「最高裁には(訴訟の)歴史的重要性や地方自治の本旨、さらには沖縄県民の苦難の歴史とその民意を踏まえ、正当な判決を最後まで期待していただけに、何らの具体的判断も示さずに門前払いをしたことは極めて残念だ」とするコメントを読み上げ、悔しさをにじませた。
その上で「多くの県民の負託を受けた知事として、辺野古新基地建設に反対する立場はいささかも変わることはない」と強調。政府に対し、工事を中断した上で、2019年4月以来開催されていない「普天間飛行場負担軽減推進会議」を開催し、会議を構成する官房長官と知事らの対話によって問題解決を図るよう求めていく考えを示した。
また、沖縄が抱える重い米軍基地負担を念頭に「依然として続く不条理な状況がこれから解消されるのか、あらゆる場面で(政府を)追及する必要がある」と語った。
辺野古移設に反対する政党や団体でつくる「オール沖縄会議」の福元勇司事務局長(67)は「対等であるべき国と地方自治体の関係において地方自治が守られているのか、最高裁が審理して判断してくれると思っていたが、門前払いというのは残念でならない。民主主義の崩壊と言うべき事態だ」と指摘。「機能不全となっている司法に失望するが、辺野古の埋め立て予定海域に軟弱地盤があり、埋め立てで自然が壊されるという事実は残る。我々は市民として新基地反対の声を上げ続け、民主的な手続きを踏むよう、これからも訴えていく」と強調した。
一方、ある自民党県議は「(敗訴確定は)当然そうなると思っていた。知事は政治家の信念として移設反対を訴え続けると言うが、国との法廷闘争は既に結果が出ていることに目を向けるべきだ」と語った。
【比嘉洋、平川昌範】

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