中部地区の都市ガスの販売で談合したとして、公正取引委員会は4日、独占禁止法違反(不当な取引制限)で中部電力(名古屋市)に1933万円、販売子会社の中部電力ミライズ(同)に745万円の課徴金納付命令を出した。ガスの販売自由化を巡って独禁法違反が認定されるのは初めてで、公取委は「(価格競争を促す)理念に反するもので極めて遺憾」としている。
公取委によると、中電側は遅くとも2016年11月以降、東邦ガス(同)と中部地区の大口顧客向けの都市ガス供給で、顧客に示す事前の見積もり合わせで価格調整していたという。
都市ガスは1995年から大口顧客向け販売の自由化が段階的に進められ、17年に家庭用の小売りも含め全面自由化されている。
中電側は08年にガス販売に参入し、発電用に調達していた液化天然ガス(LNG)を都市ガス供給に転用してシェアを増やしていた。都市ガスの顧客を維持したい東邦ガス側と、都市ガスの値崩れを恐れた中電側の思惑が一致した結果、談合に至ったと公取委はみている。
公取委はミライズに対し、再発防止を求める排除措置も命令した。東邦ガスは課徴金減免制度(リーニエンシー)を利用して最初に違反を申請したため、課徴金納付や排除措置の命令を免れた。
中電とミライズは4日、連名で「ご迷惑、ご心配をおかけしたことをおわびし、今後コンプライアンスの徹底に努める」とのコメントを発表した。【渡辺暢】