規正法違反、会計責任者が逮捕・起訴なら議員に離党勧告などの処分…自民が改革案で明文化

自民党は7日、党政治刷新本部の会合を開き、派閥の政治資金規正法違反事件を受けた党則と党規律規約、ガバナンスコード(統治指針)の改正案を示した。大筋で了承され、本部長の岸田首相(党総裁)に一任された。同法違反で政治団体の会計責任者が逮捕・起訴された場合、議員に離党勧告などの処分を科せると明文化し、派閥の規制を強化することが柱だ。
改正案は17日の党大会で決定する。
首相は党本部での会合で「政治は特別なものだという特権意識を是正し、政治家も当然の責任を取る。こうした改革を進めていかなければならない」と強調し、冒頭から終了間際まで約1時間40分にわたり出席議員の意見を聞いた。
規正法違反事件では、捜査当局による立件対象が、秘書などが務める会計責任者にとどまる例が多い。改正案では、「議員が責任逃れしている」との批判を踏まえ、党による処分の厳格化に重きを置いた。
具体的には、党規律規約に、〈1〉会計責任者が逮捕・起訴された場合は議員に離党勧告や役職停止などの処分〈2〉会計責任者の有罪確定時には議員に除名か離党勧告の処分――を科せるとする規定を設ける。逮捕・起訴された議員は除名か離党勧告とする。会計責任者が議員を陥れようと犯罪を行ったことが判明すれば、議員への処分は取り消す。
統治指針の改正では、派閥のあり方の見直しを盛り込んだ。派閥を「資金力と人事への影響力を背景に国会議員を集め、数の力によって影響力を増そうとする組織」と定義し、こうした派閥は「存続及び設立を禁止する」と掲げた。
この定義に当てはまらない「政策集団」としての派閥存続は容認しつつ、派閥の政治資金パーティー禁止や、派閥の政治資金収支報告書に対する外部監査の義務化を明記。法令違反があった派閥には、党が解散や一定期間の活動休止を求められるようにする。
派閥などによる人事への介入を防ぐため、党主導で多様な人材登用を進め、適材適所で人事を行う仕組みも構築する。人事の調整機関として休眠状態の「党人事委員会」を活用し、議員の実績や希望ポストなどのデータベースを作る方向で検討している。

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