3月1日に68歳で死去していたことが8日分かった漫画家の鳥山明さんは、愛知県清須市(旧清洲町)の出身。市の依頼に応じて市制20周年を記念するロゴをデザインしており、今年1月に公表されたばかりだった。突然の訃報に、地元は悲しみに包まれた。
清須市は来年の令和7年に市制20周年を迎える。これを盛り上げようと、昨年9月議会で記念ロゴの作成を決定。当初、市民からの公募などを検討したが、「難しいだろうが相談だけでも」と、鳥山さんの作品発表の舞台だった週刊少年ジャンプを発行する集英社を通じ鳥山さんにデザインを依頼した。鳥山さんは快諾し、ほどなく作品が届いたという。
市内には、戦国武将・織田信長が天下統一への第一歩を踏み出した清洲城がある。ロゴはこれにちなみ、口ひげをたくわえ、刀を腰に差した信長のようなキャラクターがデザインされている。
デザインは「一任」
市の担当者によると、デザインの詳細は「鳥山先生に一任した」。織田信長がモチーフになることを含め、完全に鳥山さんのアイデアだったという。
鳥山さんと地元自治体とのつながりでは、平成25年、愛知県安城市が小学生を対象とした環境保護の学習会で配る読本に、農業の大切さを訴えるオリジナル漫画「おいしい島のウ―さま」を無償提供している。
清須市の永田純夫市長は8日、追悼のコメントを発表。「鳥山先生は日本を代表する漫画家として長年ご活躍されておりました。描かれる作品は、世代を超えて、また国境を越えて愛されています」と業績を称賛した上で、「つい先日、本市20周年記念ロゴを描き下ろしていただいたばかりであります。謹んで哀悼の意を表するとともに、心からご冥福をお祈りいたします」と結んだ。