東日本大震災から13年となる11日、時の経過とともに追悼のかたちに変化が出ている。被害が大きかった岩手、宮城、福島3県の沿岸37市町村のうち、自治体主催の追悼式を11日に開催するのは16市町(岩手7、宮城3、福島6)で、半数を割った。2023年は19市町で追悼式が行われた。
岩手県は、震災の翌12年から毎年沿岸自治体と共催してきた追悼式について、津波被災地から離れた内陸部の盛岡市で初めて開催する。県によると、会場の準備などで自治体に負担がかかっていたため、今年から場所を移すことにした。
宮城県石巻市では、震災のあった午後2時46分に鳴らす1分間の追悼サイレンを例年より低い音に変える。震災で子どもを亡くした女性らから22年に「津波警報を思い出してつらい」という声が複数寄せられ、心情に配慮した。
福島県大熊町は、参列する遺族が年々減少しているため、今年は追悼式を取りやめる。ただ、住民有志が開く追悼行事の会場に、町が献花台を設置する。一方、岩手県山田町は、新型コロナウイルスの影響で22、23年は式典を開かなかったが、コロナが5類に移行したことから、今年は3年ぶりに開催することにした。
福島県主催の追悼式には岸田文雄首相が、岩手県主催の追悼式には土屋品子復興相がそれぞれ出席する。宮城県は県主催の追悼式を開かず、村井嘉浩知事が松島町の慰霊祈念碑で献花をする予定だ。
宮城県南三陸町では、町職員ら43人が犠牲となった旧防災対策庁舎について、震災遺構として恒久的に保存する方針を町が1日に表明した。保存か解体かで意見が割れていたが、毎年多くの人が手を合わせる慰霊の場にもなっている。【安藤いく子】