カトリック系の国際平和NGO「パックス・クリスティ」の米国支部は10日、広島市中区のカトリック幟町教会で広島の被爆者らと集会を開き、「残虐な行為に対するゆるしを求め、和解に向けた対話を開始するため、被爆地に訪れた」と原爆投下への謝罪を表明した。
広島に訪れたのは、米国支部の巡礼団13人。共同代表のローズマリー・ペースさん(70)は「原爆投下という恐ろしい罪に対して、米国政府はまだ公式な謝罪を表明していない」と非難。「被爆者との対話を通じ、同じ残虐行為が二度と繰り返されることがないよう、核兵器の完全な廃絶を目指して歩むことを誓う」と宣言した。
広島県被団協の箕牧智之理事長は「核大国のアメリカの中でこんな動きがあることは、言い表しようのないうれしさ」と話し、和解のしるしとして銅板で作られた鶴を巡礼団に渡した。
広島被爆者団体連絡会議の田中聡司事務局長は被爆者を代表し、米国の公式な謝罪や日本政府の核兵器禁止条約への批准などを求める共同声明を巡礼団と発表。「核兵器を全廃し、人類が生き延びるため、祈り、嘆願、抗議を続けることを誓います」と話した。
ペースさんはイスラエルのガザ侵攻や11月の米大統領選にも触れ「核の危機が高まる中、アメリカの軍事支援を止めるには選挙で変えるしかない」と訴えた。【安徳祐】