「初号機に失敗はつきもの、当たり前のプロセス着実に実行を」東京理科大の小笠原宏教授

宇宙事業会社スペースワンの小型固体燃料ロケット「カイロス」初号機は13日午前、和歌山県串本町のロケット発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げられたが、民間単独による初の人工衛星の軌道投入はならなかった。三菱重工業でロケットの設計・開発・運用などを手掛けた経験を持つ東京理科大の小笠原宏(こう)教授(航空宇宙工学)は「発射場や打ち上げプロセスを整備し、打ち上げにこぎつけたことは大きな成果だ」と強調し、「しっかりと原因を追究した上で対策を」と次回打ち上げでの成功に期待した。
小笠原氏は、スペースワンが民間単独で発射場などを整備し、ロケットを打ち上げたことを「日本の宇宙開発にとって飛躍的な進歩だ」と評価。また、「種子島などに続く発射場が和歌山にでき、宇宙に行こうとする手段が増えたという意味でも意義深い」とした。
そもそもロケットの初号機には失敗がつきものだという。「海外の有力ベンチャーも最初の数回は打ち上げに失敗しているが、1年弱でリカバリーして打ち上げに成功している」と説明し、「ポイントは、次の2号機でミッションを成功させ、それを継続していくことだ」と述べた。
かつてH2A(現在の主力ロケット)などの開発に関わっていた仲間とよく、「ロケット打ち上げが新聞で話題にならないようにしたいものだ」と話していたという小笠原氏。「ロケットが日常のインフラとして社会に根付いてほしいという意味で、そのためには民間の参入が重要だ」という。
今後、スペースワンがすべきことは何か。小笠原氏は「フライトデータにおかしな点はなかったか、システム自体に問題はなかったか。しっかりと原因を追究した上で対策をするという、当たり前のプロセスを着実に実行することだ」と指摘した。

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