柿沢未途・前衆院議員に懲役2年、執行猶予5年…東京地裁判決「組織的に選挙買収を主導」

昨年4月の東京都江東区長選で同区議らに現金を提供したなどとして、公職選挙法違反(買収など)に問われた前法務副大臣の柿沢未途・前衆院議員(53)に対し、東京地裁は14日、懲役2年、執行猶予5年(求刑・懲役2年)の有罪判決を言い渡した。向井香津子裁判長は「組織的に選挙買収を主導しており、政治不信を招いた悪影響は大きい」と述べた。
同区長選で初当選した木村弥生・前区長(58)や柿沢被告の秘書、区議ら計9人が同法違反で起訴(在宅、略式を含む)された今回の事件で判決は初めて。判決が確定すると、柿沢被告の公民権は5年間、停止される。
判決によると、柿沢被告は昨年2~10月、木村被告を当選させるため、区議や元区議ら計10人に選挙運動の報酬として計約280万円を提供したり、提供を申し込んだりしたほか、木村被告と共謀して選挙期間中に投票を呼びかける違法なインターネット広告を約37万円で掲載した。
判決は、自民党に入党して間もない柿沢被告が、次期衆院選の公認候補となる同党支部長に就任するため、対立する当時の山崎孝明区長(昨年4月死去)に対抗する候補として木村被告を擁立したと指摘。選挙戦略を企画、指南するなど選挙運動を中心となって展開する中で、買収や違法な有料ネット広告という多額の資金を投じた選挙違反に及んだとし、「選挙の公正という民主主義の根幹への信頼を揺るがす悪質なものだ」と非難した。
その上で、買収資金は計約280万円と多額で、「公正を害した程度は大きい」と述べた。違法広告の掲載についても、選挙期間中に区民を対象にした動画が約89万回再生されており、責任は軽くないとした。一方、議員を辞職したことなどを踏まえ、執行猶予を付けた。
柿沢被告は区議らに提供した資金について、逮捕前の任意の事情聴取で「同時期に行われた区議選の立候補予定者への陣中見舞い」と買収の趣旨を否定したが、逮捕後に一転して認めた。2月に始まった公判では「起訴事実を争わない」と述べつつ、事件の詳細は「差し控える」と繰り返し、説明を避けた。公判は審理を迅速に進める「百日裁判」で行われた。
在宅起訴された木村被告の初公判は18日に予定されており、起訴事実を認めるとみられる。

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