カイロス打ち上げ失敗、自律破壊システムが作動…イーロン・マスク氏も「ロケットは難しい」と投稿

和歌山県串本町で13日に実施された小型ロケット「カイロス」(全長約18メートル)の初打ち上げは、失敗に終わった。ロケット開発に失敗はつきもので、専門家は「めげることなく開発を進めるべきだ」と指摘する。
「結果を前向きに捉えて、次の挑戦に臨みたい」。カイロスを開発した宇宙新興企業「スペースワン」(東京)の 豊田 正和社長は同日の記者会見でこう述べた。
カイロスは打ち上げから約5秒後、第1段エンジンを燃焼中に機体を自律的に破壊するシステムが作動し、高度100メートル以下の空中で爆発したとみられる。同社は機体が打ち上げ2秒後に南方向へ向き始めたことについて「計画通り」と説明。飛行データやロケットの破片を今後分析する。
カイロスの開発には、政府の小型基幹ロケット「イプシロン」(同約26メートル)の開発に携わったIHIエアロスペースの技術者らが参加。部品の設計・製造では、1ミリ以下の精度での調整が必要だったという。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の的川泰宣名誉教授(宇宙工学)は「世界トップレベルのイプシロンの技術を受け継いでおり、信頼性が高かった。改めてロケット開発の難しさを感じた」と話す。
沢岡昭・大同大名誉学長は「着火した際にエンジン内部で異常圧力が検知された可能性がある」と指摘。東京大の中須賀真一教授(衛星工学)は「失敗を乗り越え、次につなげるスピード感が大切」と強調した。
ロケット開発は、技術が成熟するまでは打ち上げ失敗が続くケースが多い。世界の宇宙ビジネス業界を席巻する米スペースXも失敗を経験して成長した。創業者イーロン・マスク氏はX(旧ツイッター)で「ロケットは難しい(Rockets are hard)」と投稿した。
林官房長官は13日の記者会見で「打ち上げ能力の抜本的強化は宇宙政策の最重要課題だ。失敗原因を分析し、課題を解決してほしい」と注文を付けた。

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