「父が受けた苦しみを裁判所に理解してもらえなかった」大川原化工機えん罪事件 勾留中に発見の胃がんで死亡の男性遺族が敗訴 東京地裁

横浜市の機械メーカーの社長らが警視庁公安部に逮捕されたえん罪事件。勾留中にがんが見つかり亡くなった男性の遺族が拘置所の医療をめぐり国に賠償を求めましたが、東京地裁はきょう、訴えを退けました。
相嶋静夫さん「みなさん元気ですか?じいじはあまり元気ないけど、頑張ってるよ」
「大川原化工機」の元顧問・相嶋静夫さん(72)。
2020年、会社の社長らとともに不正輸出の疑いで、警視庁公安部に逮捕されました。
翌年、起訴を取り消されましたが、相嶋さんが生きてこの「無実の知らせ」を聞くことはありませんでした。
勾留中に見つかった胃がんが原因で、起訴が取り消される前に亡くなったのです。
相嶋静夫さん「みんなに会いたい」
相嶋静夫さんの長男(去年12月)

「逮捕されなければもっと早く体調の異変に気づいて、普通の病院で検査を受けて。もっと早くがんの治療ができてたんだと思う」
東京地裁はすでに、相嶋さんらへの捜査が違法なものだったとして、都と国に賠償を命じていますが、遺族は死亡についても、東京拘置所側が適切な医療を受けさせなかったなどとして、国に賠償を求める訴えを起こしました。
その判決できょう、東京地裁は…
東京地裁「拘置所の医師に違法な行為があったとはいえない」
判決では、軽度の貧血があり、胃痛を訴えた相嶋さんに対し、拘置所の医師が直ちに内視鏡検査を実施しなかったことについて、「至急対応すべき所見や申し出がなければ、薬を処方して経過観察するというのが一般的な医療措置だ」などと指摘し、遺族側の訴えを退けました。
相嶋静夫さんの長男「父が拘置所の中で特にがんがわかってから受けた苦しみというものに対して、裁判所に十分に理解してもらえなかったということなんだと思う」
遺族側は、控訴を検討しています。

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