生成AIで「フィッシングサイト」識別 警察庁が2025年度までに導入へ

警察庁は21日、金融機関のサイトを装ってインターネットバンキングのIDやパスワードなどを盗み取る「フィッシングサイト」の識別に、生成AI(人工知能)を導入すると発表した。業務の効率化や、増加する偽サイトへの対策強化が狙い。今後、民間にある生成AIの性能の調査などを進め、2025年度までの導入に向けた予算要求を検討する。
偽サイトの識別は現在、都道府県警や民間団体を通じて寄せられた通報・相談を元に、警察庁の職員数人がURLや金融機関のロゴの画像などから判断している。把握した偽サイトの情報はウイルス対策ソフト会社などに提供しており、23年は約49万件に上った。
金融機関などでつくるフィッシング対策協議会によると、「不正アクセスがあった」といった不安をあおるメールなどを送り、併記されたURLをクリックさせて偽サイトに誘導するフィッシングの手口は、23年に過去最多の約120万件が報告された。19年の約21倍に急増している。
今後も業務量の拡大が予想されることから、警察庁は23年11月に「キャッシュレス社会の安全・安心の確保」をテーマにした有識者会議を設置し、対応強化策を検討していた。
98%以上の高い精度で偽サイトを判別できる生成AIがあることも民間企業の研究で明らかになっているといい、有識者会議は21日に公表した報告書で「警察庁においても、こうした最先端の技術を積極的に活用し、業務の高度化・効率化を行うべきだ」と提言した。提言を受け、警察庁は「できるだけ早く実施したい」としており、民間の生成AI活用に向け、具体的な仕様などの検討を進める。
有識者会議は、クレジットカードの不正利用情報に関する大手電子商取引(EC)事業者との情報共有体制の整備なども求めており、警察庁はこうした取り組みの実現も目指す。【松本惇】

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