秋元司被告のたどる道は田中角栄か鈴木宗男か 衆院補選に出馬表明も2審でも実刑判決

4月16日告示の衆院東京15区補欠選挙への出馬を表明している元衆院議員、秋元司被告(52)=自民党離党=に22日、統合型リゾート施設(IR)事業を巡る収賄などの罪で再び実刑判決が言い渡された。秋元被告は即日上告したため有罪確定による公民権停止は免れ、このまま補選に臨むとみられる。過去にも被告の立場で裁判中に選挙戦に挑んだ政治家はいるが、有権者の判断はときにシビアだ。
獄中から出馬
公職選挙法の規定では、政治や選挙関連の罪で有罪が確定すると、議員や首長は失職。収賄などの罪では、刑を終えてから10年間、被選挙権が停止される。
逆に確定までは職も被選挙権も維持されるため、選挙に立候補することは可能。こうした被告人の立場で迎える選挙でも無類の強さを発揮したのが、田中角栄元首相だ。
昭和23年、石炭業を国家管理とする法案を巡り炭鉱業者から100万円を受け取ったとして逮捕、起訴された田中氏は翌年1月の総選挙に“獄中出馬”。保釈されて迎えた投開票日、当選を果たす。この事件では、26年の東京高裁判決で逆転無罪が確定した。
51年のロッキード事件では首相在任中に5億円を収賄したとして逮捕され、58年に東京地裁から懲役4年の実刑判決を受けた。その後、平成5年の死去まで同事件の法廷闘争は続いたが、逮捕からの5回の衆院選全てでトップ当選を果たした。
冤罪主張も支持広がらず
選挙の強さから「無敗の男」と呼ばれた中村喜四郎衆院議員は、6年のゼネコン汚職事件での逮捕から15年の実刑判決確定による失職までに2度再選。服役を経て出所してからも当選を続け、令和3年衆院選の選挙区で初めて敗北するまで14戦14勝という強さを誇った。
一方、有権者の厳しい審判を受けたケースもある。
リクルート事件で受託収賄罪に問われた藤波孝生元官房長官は、在宅起訴後初めて迎えた平成2年の衆院選は当選したものの、3年後には落選の憂き目をみた。14年に受託収賄罪で逮捕・起訴された鈴木宗男参院議員も22年の実刑判決確定による失職までの間に2度衆院選で当選しているが、逮捕後最初の選挙だった参院選では落選した。
中司宏衆院議員は大阪府枚方(ひらかた)市長時代の19年に競売入札妨害罪で大阪地検特捜部に逮捕・起訴され、失職。23年の市長選には上告中の刑事被告人の立場で出馬して注目されたが落選。今回の秋元被告のように「冤罪」を主張したものの、支持が広がらなかった。

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