2023年6月、北海道・道南の八雲町の国道で、高速バスとトラックが衝突し5人が死亡した事故で、警察はトラックを所有する養豚会社の安全運転管理者の男ら2人を書類送検しました。
会社は運転手の体調不良を知っていたのにも関わらず、事故当日、体調の確認をしていませんでした。
(岩渕カメラマン)「大型バスと大型トラックがぶつかり、前方が大破しているのが見えます」
2023年6月、八雲町野田生の国道5号で、トラックが高速バスと衝突する事故がありました。
双方の運転手と乗客3人のあわせて5人が死亡し、乗客12人が重軽傷を負いました。
事故から9か月ー
新たな動きがありました。
警察はきょう(2024年3月23日)、「日本クリーンファーム道南事業所」の安全運転管理者の52歳の男と、その上司の57歳の男を、業務上過失致死傷の疑いで書類送検しました。
トラック運転手は事故の前の日、会社に体調不良を申告していました。
しかし、会社は事故当日に体調の確認せず、事故を未然に防ぐ措置を怠っていたということです。
運転手は事故当時、心筋梗塞を起こしていたとみられます。
(日本クリーンファーム道南事務所 荒関邦彦事務所長)「今回会社が起こした事故については真摯に受け止め、深くお詫びを申し上げます」
日本クリーンファームの社長はこれまでのSTVの取材に対し、事故当日の運転手の体調管理は、セルフチェックのみだったと説明していました。
そもそも道路交通法では、自社の業務のために「白ナンバー」を5台以上か、定員11人以上の車を1台以上使う事業所には、安全運転管理者を置き、体調やアルコールの確認を求めています。
今回はこの安全運転管理者と上司が、事故を未然に防ぐ措置を怠ったということになります。
事故にあったバス会社は―
「事故原因の早急な究明を求めていた中、9か月が経ち、きょうの報道を聞いて少し前に進んだと思っています。悲しい思いをしたので、このような事故は二度と起きて欲しくないです」
交通事故に詳しい専門家は、こういった安全管理ができていない事業所は、他にも存在する可能性を指摘します。
(弁護士法人プロテクトスタンス札幌事務所 大嶋拓実弁護士)「(書類送検されたのは)異例だと、珍しいと思っています。チェックのやっていますよ感があれば、まかり通っていたのではないかと思うので、そこは甘かったかなと思いました。人が亡くなっているわけですから。(体調不良者が出たときに)どうするかというのは会社で決めておくべきですし、責任問われますよという部分です」
警察はトラック運転手の65歳の男についても、過失運転致死傷の疑いで容疑者死亡のまま書類送検しました。
原因究明に向け、今後も捜査が続いていきます。