水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づく救済を受けられなかった住民が国と熊本県、原因企業のチッソ(東京都)に損害賠償を求めた訴訟で、原告側弁護団は4日、原告144人全員の請求を棄却した熊本地裁判決(3月22日)を不服として4日付で福岡高裁に控訴したと発表した。
弁護団によると、控訴したのは143人で、1人は「長期化する裁判で気持ちが続かない」として控訴を断念した。控訴審では、25人を水俣病と認定しながら、不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅すると定めた「除斥期間」を適用したことなどを問題点で訴えていくという。
熊本市内で開かれた記者会見で森正直・原告団長は「到底納得できるものではない。私たち原告は、間違いなく苦しみ続けた水俣病被害者」と訴えた。園田昭人・弁護団長も「除斥期間の適用など水俣病の歴史を理解していない。福岡高裁では覆ることを信じている」と述べた。【野呂賢治】