「日本版CDC」来年4月発足…感染症への対応強化、新設の危機管理総局が統括

次の感染症危機に備える新たな専門家組織「国立健康危機管理研究機構」(日本版CDC)について、政府は2025年4月に設立する方針を固めた。9日に開く準備委員会で方針を提示する。設立時期はこれまで「25年度以降」としていたが、感染症への対応を強化するため、できるだけ早期の体制整備が必要と判断した。今後、閣議で正式決定する。
新機構は、米疾病対策センター(CDC)をモデルとし、病原体などを研究する国立感染症研究所と、感染症の治療などにあたる国立国際医療研究センター(NCGM)が統合して発足する。昨年の通常国会で関連法が成立した。
今年1月からは、厚生労働相直轄の準備委員会を設置し、専門家らが組織体制などについて検討を進めてきた。
指揮命令系統を効率的に機能させるため、統括部門として「危機管理総局」を設置する。平時から国内外の感染症に関する情報を収集し、状況を早期に把握。有事には、〈1〉海外で新たな感染症が発生したとき〈2〉国内で感染者が確認されたとき〈3〉国内で流行したとき――の段階ごとに、致死率や感染力など、どれほど危険な感染症かを評価する。このリスク評価の結果を踏まえ、対策にあたるチームを編成する。
今後は、25年4月の設立に向け、政府内で新機構のトップとなる理事長の人選や、人員規模などの検討を急ピッチで進める。
日本は新型コロナウイルスへの対応が後手に回ったが、感染研とNCGMが統合すれば、基礎研究から診療までの一体的な対応が可能になり、未知の病原体に対する初期対応が迅速化されると期待される。
海外と比べて遅れたワクチンや治療薬の開発でも、新機構は国内外の病院との連携を強化し、中核的な役割を担う方針だ。

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