日本大学は26日、脱税事件で逮捕された田中英寿元理事長(1月死去)体制下での不正を調べていた特別調査委員会の最終報告要旨を公表した。特別調査委は複数の不正を認定し、「『上命下服の体質』など日大の風土に起因する」と指摘した。
昨年2月の中間報告では、付属病院に入院した田中氏に対し、同病院が特別室料1116万円の支払いを免除していたことが明らかになったが、最終報告では、2017~19年に入院した元理事ら複数の大学幹部に対しても、特別室料など計約730万円を免除したり未回収だったりしたことがわかった。
田中氏については、主治医が薬の処方箋の作成を別の医師に指示していたが、カルテには診察内容が一切記載されていないことも示された。医師法では、診察内容はカルテに記載するよう義務づけられており、特別調査委は「医師法違反の疑いがある」と認定した。
このほか、電子カルテシステムの取引を巡り、元理事が不要な業者を介在させ、関連会社「日大事業部」が大学側に1億7000万円を水増し請求したことも判明した。業者から田中氏に3000万円、元理事に1400万円が支払われた。
特別調査委は、業務委託や物品調達などでも不適切な業者の選定や契約が散見されたとし、「時間をかけて粘り強く改革していく必要がある」と総括した。
また、日大は、昨年発生したアメリカンフットボール部の違法薬物事件への対応について、文部科学省に提出した改善計画の 進捗 状況も26日に公表した。
昨年12月に廃部が決定したアメフト部の元部員の在学生や、入部予定だった1年生については、運動部を統括する新設の「競技スポーツセンター」が預かり、グラウンドの使用を認め、練習の責任者を置いた。社会的な信頼回復状況をみながら「25年度以降のアメフト部新設を検討する」とした。
日大は26日午後、ウェブサイトに「改善、改革を速やかに進める」とする林真理子理事長名の文書を掲載したが、記者会見は開かなかった。