死に至ることもあり、「人食いバクテリア」として知られる劇症型溶血性レンサ球菌の感染症について、神戸大学は30日、ある分子の塊が感染を抑制することを発見したと発表しました。
溶血性レンサ球菌、いわゆる溶連菌はありふれた菌ですが、まれに手足の壊死や多臓器不全を起こすなど、重症化することがあります。
その場合、30%が死に至るとされ、「人食いバクテリア」と呼ばれています。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症の今年の患者数は4月21日までで730人(速報値)と、過去最多となった去年(941人)を更新するペースで、感染拡大への懸念が高まっています。
神戸大学は30日、大学院工学研究科の森田健太助教や丸山達生教授らの研究グループが、Mn007という分子の塊が溶連菌の感染を抑制することを発見したと発表しました。
溶連菌はDNAを分解する酵素を分泌し、ヒトの白血球が持つ感染防御システムを破壊しますが、Mn007が水の中で塊になったものを溶連菌と混ぜ合わせると、その酵素の働きを阻害することができるということです。
研究チームは今回の発見が治療薬の開発につながる可能性があると期待しています。