帝京大理工学部(宇都宮市豊郷台)情報電子工学科の学生チームが、トイレでの使用を想定した忘れ物防止装置を開発した。日本産業技術教育学会主催の「第18回発明・工夫作品コンテスト」で、発明工夫部門の最高賞「学会長賞」に輝いた。安価で簡単に設置することができ、学生たちは「忘れ物をなくすことに少しでもつながれば」と話している。
同コンテストは学生らの創造性を育むことなどを目的に2006年から毎年開催されている。対象は大学生や大学院生らで、発明工夫部門には17点の応募があった。
今回、帝京大のチームが開発した装置の作品名は「お前、忘れ物し棚…?」。
装置はトイレ脇の小物置きの棚に設置することを想定したもの。装置の上に財布やスマートフォンなどを置くとライトが点灯し、使用者に物を置いていることを通知する。置きっぱなしの状態で利用者が離れるとセンサーが反応し、「お前、忘れ物したな!」と女性の声で知らせる仕組みだ。カメラなどを使用しないのでプライバシーに配慮しているのも利点だ。
帝京大によると、近年、高速道路のサービスエリアなどで赤外線を用いた忘れ物防止システムの導入が進んでいるが、スマートフォンのような薄型の忘れ物を検知するのが苦手だという。
今回の装置は重量センサーで物を検知するため、定期券やクレジットカードなど数グラムの重さしかないものでも反応するのが強みだ。
大きさも縦15センチ、横20センチ、高さ5センチと場所をとらない。製作費も2700円程度と安価だ。
今回、開発に取り組んだのは大学4年生の叶内茉奈さん(21)、根岸祐佳さん(21)、高野知美さん(21)の3人。
発案者の叶内さんは、手をかざすと流水音が流れるトイレの擬音装置から、センサーで忘れ物を感知する機械を思いついたという。同学科の蓮田裕一教授の指導のもと、授業の合間の時間を使って2か月ほどで作り上げた。
3人は「自分たちと同じように忘れ物に困っている人がいるのだと実感し、受賞してうれしかった。商業施設などに設置し、活用してほしい」とPRしている。