25歳銀行員が過労自殺 配置転換2カ月後 上司宅に休日呼び出しも

前橋市に本店がある第二地銀・東和銀行の男性行員(当時25歳)が自殺し、労災と認定されていたことが関係者への取材で判明した。配置転換に伴う未経験業務への重圧に加え、上司のパワハラによる複合的な要因で、精神的に追い込まれた過労状態だったと判断された。男性は異動後わずか2カ月で命を絶っており、遺族は銀行側に損害賠償を求める方針だ。
男性は大学卒業後の2014年春に入行し、個人事業主らを対象にする個人向け営業担当などを経験。入行4年目の17年4月、川越支店(埼玉県川越市)に異動し、初めて法人向けの営業担当となった。
5月31日、顧客と面会する予定があったが、埼玉県内の自宅で倒れているのが見つかり、死亡が確認された。男性の自室からは「仕事で悩んでいました。誰にも相談できず、どうにもならなくなっていました」などとつづられたメモが見つかった。
男性の遺族や代理人弁護士によると、男性は川越支店への異動後、上司から同僚らがいる前で「数字が上がらない」「稟議(りんぎ)書の作成が遅い」と威圧的な叱責を受けていたことが明らかになった。
この上司は休日になると、自身の名字で「○○塾」と称し、自宅に男性ら部下を呼び出すこともあった。男性は「土曜や日曜に上司の家で、急に仕事をさせられる」と友人に漏らしていたという。
「相談しやすい職場を」
男性の死後、遺族が川越労働基準監督署に労災を申請した。労基署は23年8月、配置転換で心理的な負担が生じていたと判断。法人担当は「花形」とされており、周囲からの期待や業務量の多さに追い込まれていた一方で、仕事の悩みを相談しにくい職場だったと指摘した。これに上司によるパワハラも重なって適応障害を発症し、自殺につながったと結論付けた。
遺族の代理人を務めている立野嘉英弁護士(大阪弁護士会)は「未経験業務を担う人をフォローし、相談しやすい職場を作っていくことは、従業員のメンタルヘルス対策として重視すべきだ」と話す。
東和銀行は取材に「大変残念なことが起きたと受け止めています。労基署の調査結果を把握していませんが、ご遺族から連絡があれば、真摯(しんし)に対応してまいります」とコメントした。【土田暁彦】
相談窓口
・#いのちSOS
「生きることに疲れた」などの思いを専門の相談員が受け止め、一緒に支援策を考えます。
0120・061・338=フリーダイヤル。月・木、金曜は24時間。火・水・土・日曜は午前6時~翌午前0時
・いのちの電話
さまざまな困難に直面し、自殺を考えている人のための相談窓口です。研修を受けたボランティアが対応します。
0570・783・556=ナビダイヤル。午前10時~午後10時。
0120・783・556=フリーダイヤル。午後4時~同9時。毎月10日は午前8時~11日午前8時、IP電話は03-6634-7830(有料)まで。
・まもろうよ こころ(https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/soudan/sns/)
さまざまな悩みについて、LINEやチャットで相談を受けている団体を紹介する厚生労働省のサイトです。年齢や性別を問わず、自分に合った団体を探せます。
・こころの悩みSOS(https://mainichi.jp/shakai/sos/)
悩みを抱えた当事者や支援者への情報のほか、相談機関を紹介した毎日新聞の特設ページです。

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