コロナ5類移行に伴い、厚生労働省は患者や医療機関に対する公的支援を3月末で終了した。4月からは医療体制が平時に戻ったが、自己負担額が最大9千円だった治療薬は、原則1~3割の患者負担となり、処方を断るケースも相次いでいる。
東京都渋谷区にある「みいクリニック」の宮田俊男理事長によると、患者の8割は治療薬の処方を断っているという。治療薬「ゾコーバ」には味覚障害といった後遺症のリスクの予防効果があるが、3割負担の場合は約1万5千~約2万円かかり、宮田氏は「ある程度の収入がある人は処方を希望するが、格差も生じている」と話す。
これまで7千人以上のコロナ後遺症患者を診察してきた「ヒラハタクリニック」(同区)の平畑光一院長は「新規患者は増え続けている」と強調する。クリニックでは1日100人以上の患者を診察しているという。
平畑氏によれば、治療が必要な後遺症患者は感染症全体の1~2割、国内では少なくとも500万人程度いると推計する。また、後遺症に対応する病院への診療報酬の加算が5月末で終了するため、「後遺症患者に対応できる医療機関は限られ、減っている可能性もある」と指摘する。
平畑氏は「患者へのサポート体制が充実していれば、社会全体の損失も抑えられるはずだ」と提言している。