「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などで起訴された元妻の須藤早貴被告(28)について、事件前に別の男性から現金計約2980万円をだまし取ったとする詐欺罪の初公判が10日、和歌山地裁で開かれた。須藤被告は起訴内容について「お金を受け取ったことは事実でをついたが、(被害男性は)それを分かったうえで、私の体を弄ぶためにお金を払った」と述べ、弁護側は詐欺罪の成立を争う姿勢を示した。
須藤被告は、黒色のワンピースの上に黒色の長袖カーディガンを羽織って出廷。マスクを着用し、髪は腰あたりまで伸びていた。罪状認否では小さい声ながらも、迷いなくはっきりと自身の見解を言い切った。
起訴状によると、平成27年3月~28年1月、3回にわたって札幌市の男性=当時(61)=から計約2980万円を詐取したとされる。海外留学の準備金や第三者への弁償金を名目にして、「助けてほしい」などとをついて現金を振り込ませていたという。
当時19歳だったが家裁送致時点で20歳以上だったため検察官送致(逆送)され、起訴された。
須藤被告は、30年5月24日に殺意を持って致死量の覚醒剤を野崎さんに摂取させて殺害したとする殺人罪などでも起訴されている。須藤被告と野崎さんは同年2月に結婚したばかりだった。
野崎さん殺害事件については、令和3年5月の起訴から約3年が経過しているが、いまなお裁判官と検察側、弁護側が争点や証拠を絞り込む手続きを進めているとみられる。直接証拠に乏しいとされ、弁護側が全面的に争う可能性が高い。