銭湯て13歳の中学生を盗撮、スマホに700枚の写真があっても「不逮捕特権」で捕まらず…シンガポールの参事官(55)が13年前に書いた本の意外な内容とは

2月27日の午後8時過ぎ、東京都港区にある銭湯。
混み合う男性脱衣所で不審な動作を見せる身長170センチほどのずんぐりした中年男の姿があった。初めての客ではない。
番台の従業員は、この男を以前から怪しいと感じ、入店時から密かに注意を払っていた。すると中年男の持つスマホの画面に、脱衣所の裸の男性客らが映し出されている。盗撮だった。
「従業員はすぐさま110番通報。同時に脱衣所に設けられた防犯カメラも盗撮する様子を捉えていました。中年男は13歳の中学生の少年を隠し撮りしていたのです」(捜査関係者)
通報を受けて10名ほどの警察官が銭湯に到着。すると中年男は、最初は平謝りした上で、逃げられないと観念すると、「自分は外交官だ」と名乗ったという。男は同区内のシンガポール大使館に勤務する総務・領事担当の参事官(55)だった。
5回ほどの盗撮を認めたがスマホ提出は拒否、逮捕もされず…
「参事官は警察署への任意同行の求めには応じず、銭湯の施設内で聴取を受けた。この銭湯だけでも5回ほど盗撮したことがあるとのことで、『なぜこんなことをしてしまったのかわからない』と弁明。スマホには、さきほど撮影した少年の動画のほか、盗撮したものを含む約700枚の写真がありましたが、参事官はこの場で全て消去。警察へのスマホ提出も拒みました」(同前)
本来、性的姿態撮影等処罰法違反の罪などに問われる事案だが、外交官には逮捕や裁判が原則免除される「不逮捕特権」があるため、参事官は逮捕されることはなかった。
そして参事官は4月中旬に帰国。シンガポール大使館は、5月1日にメディアから問い合わせを受けるまで事件について知らなかったという。
この参事官、どのような人物なのか。知人が語る。
「93年にシンガポール外務省に入省後、中国、ロシア、イスラエルなどの在外公館で勤務。ビザ発給業務など仕事にそつがないタイプ。昨春、在日大使館の前任者が急逝したため、穴埋め要員として勤務していた」
シンガポールは「外交特権の放棄を行う用意もあります」と捜査に協力的
実はこの参事官、13年前に著書を出版している。中身は「バックパックを背負った外交官」である本人が、窃盗やしつこい客引きなどのトラブルに対処しながら世界各地を旅する紀行文だ。だが、彼にとって最大の危機は今回の盗撮事件だったのかもしれない。
警視庁は外務省を通じ、本人の出頭を要請する方針だ。シンガポール外務省は次の声明を発表している。
「当該職員は調査に協力するため停職となっています。私どもは日本の当局と協力し、外交特権の放棄を行う用意もあります」
小誌記者が本人のスマホに架電したところ、既に解約済みとなっていた。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年5月16日号)

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