SNSで集めた全国の客に法外な金利で金を貸しつけたとして沖縄県内に拠点を置くヤミ金グループが摘発された事件で、県警が主犯格とみている男2人について、出資法違反(超高金利)容疑で逮捕状を取ったことが捜査関係者への取材でわかった。2人は東南アジアに潜伏しているとみられ、県警は国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配を要請するよう警察庁に求めることを検討している。
県警は今年2月以降、グループのメンバー9人を同容疑と貸金業法違反(無登録営業)の疑いで逮捕し、那覇地検が出資法違反と貸金業法違反で起訴した。県警は、メンバーを入れ替えながら多様な犯罪に関わる「匿名・流動型犯罪グループ」と判断。2021~23年に全国の600人以上に計約4億円を貸しつけ、億単位の利益を得ていたとみている。
捜査関係者によると、逮捕状が出たのは、いずれも沖縄県内の30歳代の男2人。9人と共謀し、21年末から23年8月までの間、県内の男女4人に法律で定められた上限の6倍に相当する金利で金を貸し、法定外の利息を受け取った疑いが持たれている。男2人は東南アジアから指示を出していたとみられる。
グループは同県 北中城 村のアジトなどを拠点に、SNSで客を募り、返済が滞った場合は職場などに電話をかけ続ける行為を繰り返した。それでも返済しない場合は、ヤミ金の送金や現金の回収役を強要したり、闇バイトを持ちかけたりするケースもあったという。
県警は2人が出国後に帰国していないことを確認。警察庁から要請を受けた外務省は今月10日、2人に旅券返納命令を出した。6月12日の期限を過ぎると旅券は失効し、渡航先で不法滞在の状態になる。
◆匿名・流動型犯罪グループ=SNSなど緩やかな結びつきで離合集散を繰り返し、特殊詐欺や強盗など幅広い犯罪に関わる集団で、「匿流(トクリュウ)」と呼ばれる。暴力団の配下で活動するケースも確認されている。警察庁が昨年、全国の警察に取り締まりの強化を指示し、福岡県警や北海道警などが今年、専従の捜査部門を設置した。