「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に対する殺人罪などで起訴された元妻の須藤早貴被告(28)について、事件前に別の男性=当時(61)=から現金計約2980万円をだまし取ったとする詐欺罪の第2回公判が17日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)で開かれた。この被害男性の証人尋問が行われ、「(被害男性は)と分かっていた」などと起訴内容を否認した被告の主張を真っ向から否定した。
10日の初公判で被告は「お金を受け取ったことは事実でをつきましたが、(被害男性は)それを分かったうえで、私の体をもてあそぶためにお金を払った」と述べ、詐欺罪の成立を争う姿勢を示していた。
これに対し、男性は「だと分かっていたら金を払わなかった」と強調。被告の罪状認否での主張が事実かどうか問われると「違う」と否定し、「(被告に対し)性的な行為を要求したことはない」と述べた。
男性の説明によると、平成26年秋、客として訪れた札幌市内のキャバクラで被告と知り合った。被告から「美容師になりたい。学費の支払いのためにキャバクラで働いている。親は学費を出してくれない」と言われたため、「美容師になる夢を応援してあげたい」との思いで金を振り込むようになったという。
起訴状によると、平成27年3月~28年1月、3回にわたって札幌市の男性から海外留学の準備金名目などで約2980万円を詐取したとされる。
被告は、30年5月24日に殺意を持って致死量の覚醒剤を野崎さんに摂取させて殺害したとする殺人罪などでも起訴されている。被告と野崎さんは同年2月に結婚したばかりだった。
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須藤被告は詐欺事件当時は未成年(19歳)でしたが、殺人という重大事件の被告であることなどを考慮し実名とします。