〈那須2人殺害〉「クシャクシャにしてやる」酒を飲むとキレまくる金髪男「アニキ」も再逮捕。「『消してほしい人がいる』と誘われたけど断った」と関係者、主犯の全身刺青男と一味の量刑は…?

〈〈那須殺害から1カ月〉「目的は経営権よりカネだった?」捜査員も注目する、事件の8日後に「どれでもいいから店をキャッシュで買ってほしい」と“仲介業者”が近隣店舗にオファー。いっぽう宝島ロードの“現在”は…〉から続く
東京・上野で飲食店を多角経営していたサンエイ商事の社長、宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)が絞殺され、遺体が焼かれて見つかった事件で、警視庁と栃木県警の合同捜査本部は5月19日、主犯格とみられる関根誠端容疑者(32)に求められ殺害計画に加わったとして佐々木光容疑者(28)を夫妻の殺人容疑で再逮捕した。同容疑者は指示役として、凶器を準備し実行犯を集めることを仲介役の平山綾拳容疑者(25)に発注したとみられる。合同捜査本部は関根容疑者と他の3人の共犯者もこの後、殺人容疑で再逮捕する方針だ。
〈写真多数〉“アニキ”こと佐々木容疑者の正面から撮影したスーツ姿の写真、さらには背中一面に“殿”と“姫”、腹には鶴…周囲がビビっていた関根容疑者の刺青全身写真と甘いマスクでマダムを手玉にとっていた20代のころの写真
「捜査本部は全員を殺人の共同正犯として立件する方針です」(警視庁担当記者)
全身に刺青を入れている関根容疑者は宝島さん夫妻の長女の内縁の夫で、サンエイでは「番頭格」だったが、昨年ごろから経営の主導権争いが顕在化していた。
合同捜査本部は、関根容疑者が殺害と遺体の隠蔽を画策して佐々木容疑者を抱き込み、佐々木容疑者は渋谷のクラブで知り合った平山容疑者に結束バンドなどの凶器や遺体運搬用の車の準備と、実行犯を集めることを指示したとみている。これを受けた平山容疑者は、同じクラブで顔なじみになった姜光紀容疑者(20)と元俳優の若山耀人容疑者(20)に声をかけ、2人も同調したとされる。
事件は4月15日夜、関根容疑者と、同容疑者と旧知の不動産業、前田亮容疑者(36)が宝島さん夫妻を新規店舗の候補地下見を口実に品川区内の空き家に連れ込み、この家のガレージで16日未明にかけ夫妻は絞殺された。
「現場には宝島夫妻のほか関根、前田、姜、若山の4容疑者がいたとみられますが、平山容疑者が”アニキ”と呼んでいたという佐々木容疑者も近所の防犯カメラに映っており、空き家内にいた可能性も排除できません。だれがどのように夫妻を暴行し首を絞めたのか、捜査本部は詰めの捜査を急いでいます。ただ、殺害と遺体を遺棄する計画は6人全員が認識し役割分担をしていたため、捜査本部は全員を殺人の共同正犯として立件する方針です」(警視庁担当記者)
「コロし…、消してほしい人がいるんだよね」
殺人容疑では2人目の逮捕者となった佐々木容疑者は2月中旬に上京し、サンエイ系列店が並ぶ「宝島ロード」と呼ばれる一角で、サンエイとは無関係のバーの客引きをしていた。「キャッチをするときはスーツとネクタイでピシッときめ、敬語もきちんと使って客とのトラブルは一切ありませんでした。愛想がよかったので店の女の子たちとも仲がよかったようです。しかし酒を飲むと豹変し狂暴になっていました。一度、夜道を歩いていて若い男性と軽くぶつかり、向こうが一言二言なにか言った瞬間にとびかかって相手をボコボコにしたことがあります。大慌てで止めに入って佐々木を押さえつけ、相手に『逃げろ』と言って逃がしたことがあります」 (飲食店関係者)
佐々木容疑者の“凶暴性”を証言するのは一人ではない。別のバー店主もこう話す「佐々木は自身も福岡時代に女の子の店をやっていたからか接客態度にも厳しい。先月もあるガールズバーで新人のボーイが粗相をしたら『オモテでろ』『クシャクシャにして歩けなくするぞ』とそのボーイを店の外につれだし迫っていました。顔を相手の鼻にあたるくらい近づけてメンチきって、ボーイは泣いてましたね。他のコンセプトカフェでも“顔見知り”のお客が女の子に偉そうにしていたら『態度が悪い』とボコボコにしていました」
そんな佐々木容疑者が犯行グループに入ったのは驚くほど場当たり的な経緯だった。佐々木容疑者が上京してから一か月半後の4月初旬、関根容疑者はまず別の人物に殺人計画への加担を求め、断られたので直後に次の佐々木容疑者に声をかけたとみられる。♯26において、関根容疑者から最初に声をかけられたという飲食店の店長、Y氏は集英社オンラインの取材に対し「(関根容疑者から)『お願いしたいことがある。コロし…、消してほしい人がいるんだよね』と言われました。無理じゃないですか。俺も仕事あるし、生きないといけないし。とりあえず面倒くさいので『いいです』って断ったんです」と証言した。
Y氏によると、その後、仕事を通じて面識があった佐々木容疑者から、使用者のアシがつかない“飛ばし携帯”が「6台ぐらい」手に入らないか、との依頼もきたという。「できないことはないけど、でも何に使うのって(断りました)。そんなの、リスクじゃないですか。(関根からの依頼を)俺が断ったから佐々木にいったんだと思います」(Y氏)
佐々木容疑者が求めていた6台という台数は現在まで判明している犯行グループの人数と一致する。「殺人容疑での再逮捕前、佐々木は関根から『4月上旬に犯行の計画を持ちかけられ、逆らえなかった』といった内容の供述をしています。捜査本部は佐々木がカネで転んだ可能性も視野に、殺人に加担した経緯を詰めています。今のところ関根が1500万円を佐々木に渡し、佐々木が100万、平山が900万、若山と姜がそれぞれ250万円ずつ手にしたとの構図が出ていますが、いくら何でも安すぎるという見方もあります。これらの金が“手付け金”にすぎず、犯行後に追加で支払われる約束がなかったかどうかや、また前田容疑者にいくら渡ったのかについても、捜査本部は6人を追及しています」(社会部デスク)
「これだけの犯罪だから犯人は極刑になるのでは?」
また、♯31で報じたように、宝島夫妻の遺体が発見された8日後の4月24日にはサンエイ系列の店の経営権を売りたいという話が近隣の飲食店に持ち込まれており、この売却打診にもし関根容疑者がかかわっていれば、犯行は経営の主導権奪取のためではなく売却代金狙いの可能性も出てくるが、いずれにしても強盗殺人と同じく、事件はカネから始まった疑いが強い。佐々木容疑者ら共犯者も関根容疑者からの報酬を目当てに参加している。「カネ目当てで被害者が2人、しかも幸子さんは殺害前に頭蓋骨が陥没するほど顔や頭部を激しく殴られており、犯行動機も様態も非常に悪質と言えるでしょう。首謀者の関根や殺害の実行行為者は極刑が求刑される可能性があります」と社会部デスクは話す。
また、参考人として事情を聴かれた上野の飲食店関係者は「刑事さんと雑談をしていて、これだけの犯罪だから犯人は極刑になるのでは、と水を向けたら、刑事さんも『われわれの立場では言っちゃいけないんだけど…』と言葉を濁していましたよ。怨恨だけが原因の事件とは事情が違うからね」と凶悪な手口に顔をしかめる。カネだけを媒介に即製でつくられたグループが、深い計画もなくあちこちの防犯カメラに姿をさらしながら実行に移した犯行はあまりにもずさんで、2人の命を奪うという結果の重さとは対照的だ。凶行の前に考えるべきだった代償の大きさを、6人はこれから思い知ることになるが、あまりにも遅すぎる。
※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。メールアドレス:[email protected](Twitter)@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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