つばさの党〝妨害全貌〟本紙記者が見た「マイクで罵声」「乙武氏接近」「太鼓連打」聴衆女性転倒させ「警察呼べよバカ、ババア!」

4月に行われた衆院東京15区(江東区)補選で、政治団体「つばさの党」が繰り広げた他陣営への妨害行為は、公選法違反(自由妨害)の疑いで、代表の黒川敦彦容疑者(45)ら3人が逮捕される結果となった。夕刊フジの選挙取材班も前代未聞の妨害騒動をたびたび目撃していた。
4月16日の告示日は、無所属で出馬した乙武洋匡氏がJR亀戸駅北口で行った第一声がターゲットとなった。小池百合子都知事らも応援に駆け付け、大勢の警察官も警護するなか、つばさの党から立候補していた根本良輔容疑者(29)や黒川容疑者らが乙武陣営に近づき、マイク越しにがなり立てた。
乙武氏の不倫問題や小池氏の学歴疑惑について連呼し、口調も「おい、小池答えろ!」「きれいごと言ってんじゃねえぞ!」などと罵詈(ばり)雑言となった。乙武陣営も拡声器の音量を上げるが、聴衆は集中して演説を聞ける状況ではなかった。
両容疑者は代わる代わる電話ボックスの上によじ登ってマイクで叫び続け、報道陣からも「警察はこれでも止められないのか」といった声が漏れた。
聴衆女性転倒させ「警察呼べよバカ、ババア!」
同23日、乙武氏がJR亀戸駅周辺で行った街頭演説では、選挙カーで乗り付けた根本容疑者が乱入し、電動車いすに乗る乙武氏まで1メートルにも満たない距離まで近づき、プラカードを掲げて立ちはだかった。聴衆の50代女性がたまらず注意すると、根本容疑者が詰め寄り、足を踏まれた女性は転倒した。根本容疑者はそれでも「警察呼べよバカ、ババア!」と言い放っていた。
日本保守党から出馬した飯山陽氏(48)も街頭演説でつばさの党から執拗(しつよう)にマイクで絡まれ、会場は何度も変更せざるを得なかった。根本容疑者は、日本保守党代表の作家、百田尚樹氏に罵声を浴びせ、集まった聴衆にも「バカ!」とあざける場面があった。
当選した立憲民主党の酒井菜摘氏(37)の陣営では、選挙カーが走行中、つばさの党の選挙カーに追いかけられ、最寄りの交番に助けを求めたという。
日本維新の会の金澤結衣氏(33)は、街頭で演説する目の前で、黒川容疑者に太鼓を連打されていた。
「2年前の参院選のときから妨害を受け続けてきた」と話すのは、東京15区で吉川里奈氏(36)を擁立した参政党の関係者だ。参院選では都内や長野県内で、昨年の統一地方選では山口県内でも演説時に妨害を受けたといい、「妨害活動は組織的とみている。まだ安心していない」と話した。

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