奈良県立医科大(橿原市)は24日、同大学発のベンチャー企業「モルミル」(代表、森英一朗准教授)と共同で、創薬開発のための研究講座を設置したと発表した。全身の筋力が低下する難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの治療薬開発を目指しており、投資会社が約1億円を出資。森氏は「企業などと協力することで資金を調達し、薬を諦めていた患者や家族に一日も早く薬を届けたい」とし、講座には専任教員を配置して研究を進める。
森氏は、同大学の杉江和馬・脳神経内科学講座教授と共同で、細胞内の分子の状態変化が疾病の兆候になる点に着目して研究。ALSなどはタンパク質異常が原因とされる一方で、見つけるのは技術的に困難とされてきたが、判別が可能になったという。
森氏は「病気の分子を見つけて効果的な薬を開発すれば、健康な状態にできる可能性がある」とし、ALSやアルツハイマー病、パーキンソン病などに効果がある創薬に向けた技術開発に取り組んでいる。一般的に1千億円単位のコストと10~20年の期間が必要ともいわれる中、今回はリアルテックホールディングス、三菱UFJキャピタル、池田泉州キャピタルの3社が出資することになった。
森氏は「大手製薬企業がなかなか踏み込めない、リスクもある領域に出資いただいて感謝している」と述べ、池田泉州の担当者は「関西から日本の創薬を盛り上げたい」と話した。