「認証不正」立ち入り検査はトヨタから、国交省「最も影響が大きい」…対象車種増える可能性も

自動車・二輪車メーカー大手5社による量産に必要な認証「型式指定」を巡る不正で、国土交通省は4日、トヨタ自動車の本社(愛知県豊田市)に対し、道路運送車両法に基づく立ち入り検査を始めた。5日以降も検査を続けるほか、マツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキも6月中に立ち入り、行政処分を検討する。
型式指定の不正でトヨタ本社が立ち入りを受けるのは初めて。国交省は、品質管理や認証試験などの担当幹部らへの聞き取り調査や関係書類の確認に加え、未報告の不正の有無も併せてチェックする。5社の中で最初の検査対象とした理由については「車種や試験項目の数などから最も影響が大きい」とした。
トヨタでは2014年以降、7車種の型式指定の申請で不正があり、累計台数は170万台に上る。社内調査は完了しておらず、対象車種は増える可能性もある。
このうち、不正公表まで出荷・生産していた▽ヤリスクロス▽カローラフィールダー▽カローラアクシオ――の現行3車種では、型式指定を申請する際、歩行者保護や積み荷移動防止の試験で虚偽データを提出するなどしていた。
すでに生産を終えた▽クラウン▽アイシス▽シエンタ▽レクサスRX――の4車種でも、エンジン出力試験で想定した数値を得られず、コンピューター制御を調整して得たデータを申請に使うなどした。
トヨタは「対象車両の安全性に問題はない」としているが、国交省による独自の試験で国の安全・環境基準への適合性が確認されるまで、現行3車種は出荷できない。
5社の不正について、斉藤国交相は4日の閣議後記者会見で「自動車ユーザーの信頼を損ない、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為で極めて遺憾。各社への立ち入り検査を踏まえ、厳正に対処したい」と語った。
昨年判明したダイハツ工業の不正では、道路運送車両法に基づき、今年1月にグランマックスなど3車種の型式指定が取り消され、組織体制の抜本的な改善を求める「是正命令」も出た。

トヨタは6日から、ヤリスクロス、カローラフィールダー、カローラアクシオの3車種の生産を停止。子会社「トヨタ自動車東日本」の宮城大衡工場(宮城県大衡村)と岩手工場(岩手県金ヶ崎町)の稼働を一部停止する。
マツダも6日から、「ロードスターRF」「マツダ2」の生産を停止する。ロードスターRFは本社工場(広島市)で、マツダ2は防府工場(山口県防府市)で生産している。

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