国交省がトヨタに立ち入り検査、「型式指定」の不正申請で…あす5日は担当者や幹部に聞き取り

自動車・二輪車メーカー大手5社による量産に必要な認証「型式指定」の不正申請を巡り、国土交通省は4日午前、トヨタ自動車の本社(愛知県豊田市)に対し、道路運送車両法に基づく立ち入り検査に入った。国交省によると、トヨタの不正行為による本社への立ち入りは初めてとみられる。詳しい事実関係を確認した上で、行政処分を検討する。
国交省の担当者5人は4日午前9時半頃、トヨタ本社を訪れた。品質管理や認証試験、開発を担当する部署などを調べ、トヨタから報告を受けた不正の調査内容を詳しく調べる。
不正は2014年以降、7車種で行われ、計170万台に上る。トヨタは「対象車両の安全性に問題はない」としているが、国交省は独自の試験を実施し、国の安全・環境基準への適合性を確認して結果を公表する。
このうち、現在生産中で国交省が出荷停止を指示した▽ヤリスクロス▽カローラフィールダー▽カローラアクシオ――の3車種では、型式指定を申請する際、歩行者保護や積み荷移動防止の試験で虚偽データを提出するなどしていた。
3車種を生産する子会社「トヨタ自動車東日本」の宮城大衡工場(宮城県大衡村)と岩手工場(岩手県金ヶ崎町)の一部では、今後稼働を止める。販売規模は年間12万台に上り、関係する取引先は2次・3次の部品メーカーなどを含めて1000社を超える。
すでに生産を終えた▽クラウン▽アイシス▽シエンタ▽レクサスRX――の4車種でも、エンジン出力試験で想定した出力を得られず、コンピューター制御を調整して得た出力データを申請に使うなどしていた。
トヨタへの立ち入り検査は5日も続き、担当者や幹部への聞き取りを行う。国交省は5社の不正について、昨年判明したダイハツ工業の不正に比べ、「対象車種や生産台数は少ない」としているが、残るマツダ、ヤマハ発動機、ホンダ、スズキにも今月中に順次、立ち入り検査を進め、行政処分を検討する。
5社による不正について、斉藤国交相は4日午前の閣議後記者会見で、「ユーザーの信頼を損ない、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為で極めて遺憾」と語った。その上で、「出荷停止による経済への影響を低減する観点から、(出荷再開の前提となる)基準適合性の確認試験を速やかに行う」と語った。
斎藤経済産業相も閣議後の記者会見で、生産停止に伴う影響を調査し、必要な対策を検討すると明らかにした。部品メーカーを始めとするサプライヤーの生産計画にも影響が及ぶとみられ、斎藤氏は対策について「資金繰り(支援)などが想定される」とした。

シェアする

フォローする