福岡県議会は4日、海外視察のあり方を見直す超党派の議会改革プロジェクトチーム(PT、座長=野原隆士・議会運営委員会委員長)の初会合を開き、過去5年の海外視察の日程や費用を公表した。コロナ禍で視察を中止した2020、21年度を除く19、22、23年度の3年間で計23件の海外視察を実施。このうち予算に計上したのは計約8000万円だったが、実際にかかった費用は計約2億8400万円となって3倍以上の開きがあった。(手嶋由梨)
県議会は海外視察の報告書を公表しておらず、詳細が明らかになるのは初めて。視察の目的は友好交流や県人会の訪問、視察調査などで、19年度が6件(計約6400万円)、22年度は6件(計約7900万円)、23年度は11件(計約1億4100万円)。最も高額なのは今年2月1~8日の欧州視察で、県議・職員計11人で約3000万円だった。
当初予算で計上したのは、3年間で計約8000万円。実際の費用がこの約3・5倍に膨らんだ背景には、物価高騰や円安の影響のほか、いくつかの理由があると県議会事務局は説明する。
一つは、知事からの要請を受けて同行する海外訪問だ。過去5年では県と姉妹提携を結ぶハワイ州やオーストラリア訪問など11件が該当。県議会の慣例で、予算では議長1人分を計上するが、実際にはゆかりのある他の県議4~5人も訪問団として同行しており、 乖離 が生じるという。
また、予算成立時には予定になかった視察が急きょ組まれたケースもある。昨年度は台湾とマレーシア、欧州の3件で、議会での事前の議決を経ずに議長が派遣を決定した。予算と実績の差額は、入札などで執行されずに残っている議会費で埋め合わせをするという。
問題の発端となった今年4月11~19日のアフリカ視察の費用(見込み)も公表された。当初は予定になかった中東・ドバイ訪問も含め、県議5人と職員5人で計約2500万円だった。
この日の初会合では、各会派の代表ら10人の県議が出席。報告書を公表すべきだとの見解で一致する一方、「議員外交や交渉ごとは何年もかかることがあり、成果をどのように周知するかは工夫する必要はある」との意見もあった。また、費用については「青天井になることのないように回数や人数、予算を精査すべきだ」と指摘する議員もいた。
PTは今月中に改革案を協議し、議長に答申する予定。