神戸市長田区のラーメン店で昨年4月、店主だった特定抗争指定暴力団山口組「弘道会」傘下組織の余嶋学組長=当時(57)=が射殺された事件で、兵庫県警は7日、長野、茨城両県の発砲事件で逮捕されていた指定暴力団「絆会」幹部、金成行(しげゆき)被告(55)=別の殺人罪などで起訴=について、組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人)容疑で逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。
県警によると、事件は昨年4月22日午前11時ごろに発生。長田区東尻池町のラーメン店で、余嶋組長が血を流して倒れているのを女性従業員が発見し、119番。搬送先で死亡が確認され、頭部から銃弾が見つかった。店内には薬莢(やっきょう)が落ちていたが、拳銃は見つからなかった。
捜査関係者によると、金被告が潜伏していた仙台市内の住宅から拳銃を押収。鑑定の結果、発射された銃弾が銃身を抜けるさいに残る線条痕が、余嶋組長の射殺に使われた銃弾と一致したという。
ラーメン店周辺の防犯カメラには、事件の直前に店に入り、数分後に立ち去る黒っぽい服装の人物が写っていた。専門機関に映像解析を依頼して人物の特定を進めたほか、逃走に使われたとみられる車両の遺留物を調べるなどした結果、金被告が関与した疑いが強いと判断。組織として犯行に及んだとして、同法違反容疑の適用を決めたとみられる。
金被告は令和2年に長野県内で起きた殺人未遂事件で指名手配され、今年2月1日、長野県警などが仙台市内で発見し逮捕。4月30日には、水戸市の山口組系事務所内で、同組系幹部=当時(40)=を射殺したなどとして、茨城県警が殺人容疑で逮捕していた。