大分・宇佐の親子強盗殺人、検察側が死刑求刑 被告は全面否認

大分県宇佐市の住宅で2020年2月、親子2人が殺害され現金が奪われた事件で、強盗殺人などの罪に問われた佐藤翔一被告(39)=大分市=に対し、検察側は17日、大分地裁(辛島靖崇裁判長)で開かれた裁判員裁判の公判で「犯行形態は残酷で、落ち度のない2人が命を奪われた結果は重大」などとして死刑を求刑した。弁護側は「(被告に)動機はなく、複数の第三者による犯行に巻き込まれた可能性がある」と改めて無罪を主張し、結審した。判決は7月2日。
佐藤被告は事件発生から約1年8カ月後、現場周辺の聞き込みや防犯カメラ映像から関与が浮上したとして逮捕されたが、一貫して無罪を主張。公判では、佐藤被告が事件に関与したと言えるかどうかの犯人性が主な争点だった。
検察側は論告で、佐藤被告の車の中に付着した血痕から被害者のものと一致するDNA型が検出されたことや、被告が事件後に血の付いた服などを洗濯後に捨てたことなどを列挙し「これらの事情が偶然重なることはおよそ想像し難く、被告が犯人と認められる」と述べた。
一方、弁護側はこれまでの公判で、佐藤被告は事件前後に覆面をした男3人組と現場周辺で行動を共にしたものの、事件には関与していないと主張してきた。この日の最終弁論では、被告の車には被害者2人や被告のものとは異なる血痕が残されていたことなどから、第三者の関与が疑われると指摘。「(佐藤被告が)犯人であることは立証されていない」と強調した。
起訴状などによると、佐藤被告は20年2月2日、宇佐市安心院町荘(あじむまちしょう)の農業、山名高子さん(当時79歳)方に押し入り、山名さんと長男で郵便配達員の博之さん(同51歳)を包丁やはさみなどで複数回刺して殺害し、現金約8万8000円を奪ったとされる。【神山恵、山口泰輝】

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