研修医が2度にわたり誤診…16歳高校生死亡 遺族「決して忘れないで」

去年5月、愛知県名古屋市にある病院で男子高校生が救急搬送されましたが、その後亡くなりました。高校生は同じ日に2度にわたり救急外来を受診しましたが、2度とも研修医が誤診していたと病院側が謝罪しました。

高校生の息子を失った遺族の言葉
「先生方の診断ミスでまだ16歳の男の子の人生を突然終わらせてしまったこと、決して忘れないでください」
亡くなった背景には、「誤診」がありました。
日赤名古屋第二病院 佐藤公治院長(愛知・名古屋市 17日)
「未来ある患者さまを救うことができず、大変申し訳なく、病院の責任者として心からおわび申し上げます。誠に申し訳ありませんでした」
17日、愛知県名古屋市の日赤名古屋第二病院が会見を行いました。病院によると、去年5月に腹痛・おう吐などを訴えた16歳の男子高校生が救急搬送され、2年目の研修医が診察しました。
CT検査で胃の拡張があるものの、採血結果は「正常範囲内」として「急性胃腸炎」と診断され、高校生は一度帰宅。ただ、おう吐が続き、同じ日に再び救急外来を受診。別の2年目の研修医が診断し、結果は「急性胃腸炎」。「新たな症状はない」として、近くのクリニックを受診するよう指示したといいます。
翌朝、クリニックで緊急処置が必要と判断され、あらためて病院で外科医師の診察を受けると、「上腸間膜動脈症候群の疑い」。“十二指腸が閉そく”する病気、SMA症候群の疑いと診断され、入院治療へ。
しかし、不適切な処置は続きました。
看護師間での情報共有不足により、鎮痛剤を指示量の倍の量投与。脱水への治療も遅れ、最初に診断されてから2日後に心肺停止。意識不明のまま、約2週間後に亡くなったといいます。


「胃腸炎」と誤診された「SMA症候群」とは、どんな病気なのか。救命救急にあたる医師に聞きました。
東海大学医学部付属病院・高度救命救急センター 守田誠司所長
「(SMA症候群は)比較的若い人に多い病気です。症状として吐いたりするので胃腸炎かなと、最初の診断としては診断しうるかもしれない。胃や十二指腸の拡張が見えたりでいうと、疑うべきではあった。治療を開始するべきであった」
また、研修医が診察すること自体は「問題ない」といいますが…
東海大学医学部付属病院・高度救命救急センター 守田誠司所長
「経験のある指導医に報告をして、相談をして、が基本になる。我々の病院では研修医の判断で(患者を)帰すことはしていない」
今回「誤診」が起きた病院では、2年目の研修医は先輩医師への報告を“義務づけられていなかった”といいます。背景には、“医師不足”の現状もあります。
東海大学医学部付属病院・高度救命救急センター 守田誠司所長
「病院内にいる医師が減ってしまったり、対応できる医者も減ってしまうという現状はある」
何度か診療を受けても症状が改善しない場合は、違う病院を受診してみてほしいとしています。
誤診があった病院では、調査の結果、“病院側に過失があった”として、遺族と和解に向けて協議を行う予定だということです。

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