つはさの党 アシトの真の家主か「不法占拠されているんです」「退去して!」

「あそこの家は、アジトなんかじゃないんです。不法占拠されているんです」
週刊文春が5月30日号で潜入記事を掲載した政治団体「つばさの党」のアジトについて、家主は周囲に悲痛な訴えをしているという。
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アジトの“真の家主”
5月17日、つばさの党代表・黒川敦彦容疑者(45)、同幹事長・根本良輔容疑者(29)、同組織運動本部長・杉田勇人容疑者(39)の3人が公職選挙法違反の疑いで逮捕された。
社会部記者が解説する。
「警視庁捜査二課は、練馬区の住宅街にある地上3階地下1階の一軒家をつばさの党のアジトと断定。家宅捜索に入り、街宣車や拡声器、太鼓など数十点の証拠品を押収しました」
アジトの主(あるじ)は東証プライム上場の光学機器メーカー「HOYA」の創業者一族であるA氏。今回逮捕された黒川と共に、今年1月に「投資ブラザーズ」なる合同会社の代表社員に就任しており、つばさの党の“資金源”とも目されている人物である。
「でも、あの家の“真の家主”はAさんのお母さんなんです。土地と建物の登記簿謄本にも、しっかりとAさんの母の名前が所有者として明記されています」
そう語るのは、A氏の母から相談を受けているという友人の1人。
「もともとあの物件は、画家として活動するAさんの妹の絵を展示するギャラリーだったんです。当初、Aさんには寝泊まりのために2階の奥にある1部屋のみの使用が許可されていたのですが、昨年末頃から黒川らが頻繁に出入りするようになったのです」(同前)
その頃は家の中に冷蔵庫や洗濯機といった生活家電はなく、絵画が傷むため備え付けのキッチンの使用も厳禁だったという。
「それなのに、黒川たちは次々と家電製品や私物を持ち込み、いつの間にか得体の知れない怪しげな連中が住み着くようになってしまったんです。キッチンには汚れた鍋や食器が山積みになり、床には外された絵画が無造作に置かれ、あっという間に家中がゴミ溜めのようになってしまったそうです」(同前)
堪忍袋の緒が切れた母
A氏の母はアジト化した家に何度も足を運び、その度に息子を叱って退去を迫ったという。ところが、
「今年の1月29日に玄関の鍵を勝手に替えられてしまい、中に入れなくなってしまったというのです。Aさんのお母さんは、こうした事態に危機感を覚え、警察にも複数回相談に行ったようですが、民事不介入を理由に取り合ってもらえなかったんだとか」(同前)
締め出されてしまったA氏の母が、冒頭のように嘆くのもゆえなしではない。
友人が続ける。
「Aさんのお母さんは黒川らが逮捕されたことで、さすがに堪忍袋の緒が切れたようです。最近になって弁護士に頼んで、明け渡しのための仮処分命令申立書を裁判所に提出したそうです」
無法者がはびこるにまかせた息子のA氏はどう考えているのか。携帯電話を鳴らすと、
「あぁ今、アゼルバイジャンにサッカーを見に来ていて電波が悪いので、書面で答えますよ」
そう言って後日メールで大要こう回答した。
「(元々母と実家で同居していたA氏が)あの物件に住むようになったのは、高齢になった母が睡眠時無呼吸症候群などの持病を持つ私の面倒を見られないと申し出があったため。私の持病には、どうしても介助者が必要で、母の代わりに私の会社の従業員に同居してもらっていました」
次の“アジト”
そして、今後の対応についてはこう説明する。
「元々の家族の取り決めでは、私も母や妹と共に実家に住むことが認められていました。それにもかかわらず、母があの物件から私を退去させる強行措置を取るのであれば、私は世話人などと共に、母の住む実家に移動するつもりです。つまり、今後は実家が“アジト”になる可能性があります」
もっとも、母からの要請がなくともアジトのメンバーたちの退去は進んでいると言い、こう続けるのだ。
「6月3日付で根本氏と内縁の妻と子は転居することになり、その他の人たちの職場についても現在練馬区内のビルを取得交渉中で、それがうまくいけば数カ月以内に移動する予定です」
他方、A氏の母親は言葉少な。自宅のインターホンを押すと、こう答えた。
「すみません。弁護士の先生に全てお任せしていますので取材はお断りします」
つばさの党は幹部が逮捕されても、次の寄生先を探している。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年6月13日号)

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