麻生氏に「わび」
岸田文雄内閣の支持率が〝危険・退陣水域〟に落ち込むなか、29日に首相在職1000日を迎えた。自民党派閥裏金事件で政治不信は燃え上がり、9月の党総裁選へ「岸田降ろし」「ポスト岸田」の動きも活発化する。麻生太郎副総裁との関係修復を急ぎ、地方行脚を始めるなど続投意欲は強固な首相だが、党内外には〝冷たい風〟が吹く。
「毎日毎日、緊張感の中で課題に取り組む連続だった」 在職1000日を受け、岸田首相は記者団に感想を語る一方、総裁選については「政治改革や経済など、先送りできない課題に取り組んでいる」と、言及を避けた。
党内政局のゴングは既に鳴っている。菅義偉前首相が裏金事件で岸田首相の責任回避を批判し、事実上の〝退陣要求〟をブチ上げた。石破茂元幹事長や高市早苗経済安保相ら〝有力候補者〟は、会合や講演などを重ね、「ポスト岸田」への意欲をにじませる。
こうしたなか、岸田首相は電気・ガス料金やガソリン代の負担軽減策(補助金)を再開し、年金世帯・低所得者に給付金を支給する「甘いアメ」作戦に打って出ている。
関係に亀裂が入った麻生氏とは2週連続で会食し、「至らないところがありました」とわびたという。
首相は29日には甲府市を訪れ、自民党山梨県連幹部らと懇談。今後は各地を回り、党員や地方幹部らと意見交換するという。
だが、自民党関係者は「地方組織は冷え切った厳しい世論を最前線で痛感している。選挙で勝てない以上、『交代論』の流れは止まらない」と断じる。ベテラン議員も「国民から見れば『空回り』に映るだろう。和やかな『車座』の演出にも無理がある。自民党はいよいよ危機的だ」と険しい表情で語った。