1日昼に種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)から打ち上げられた日本の次世代主力ロケット「H3」3号機。名古屋大の安井正明特任教授(推進工学)に打ち上げ成功の意義などを聞いた。
◇
今回の成功により、H3ロケットは、初号機の失敗を受けて2号機で施された対策が妥当だったと検証できた。H3ロケットは、エンジンや打ち上げ形態がまだ完成形には到達しておらず、開発は続いている。その開発を進めていく上でも、朗報といえよう。
今後は特に(第1段エンジンの新型となる)「タイプ2」エンジンの開発に期待したい。このエンジンは今回のものより性能が向上し、3D造形技術を用いてコストを削減するなど、H3の価値を高めるものだ。
だいち4号という実用衛星を搭載して打ち上げた意義も非常に大きい。
だが、もちろん気を抜くことはできない。過去のロケット打ち上げを振り返ると、H2、H2Aでは回数を重ねてからも大きな不適合が生じ、失敗している。
H3は2機連続での成功となったが、3回のうち2回成功したからといって、まだまだ安心はできない。実際に開発をしている現場の技術者は、そう思っているはずだ。引き続き信頼性確保に努めていく必要がある。(談)