「動員はやるもの」-。横浜市教育委員会が教員による性犯罪事件の裁判で傍聴妨害をしていた問題で、職員が大量動員された4件の裁判のうち、2件目以降は被害者側からの申し出でなく、市教委側が発案するなどしていたことが26日、弁護士3人による検証チームの報告で確認された。前例踏襲の呪縛から、適正な判断がなされなかった実態が明らかになった。
市教委は当初、4件すべてについて、被害者側から傍聴への大量動員の意向があったとしていた。だが、令和5年以降に公判が行われた3件は、市教委側の意向や呼びかけで動員が行われていたことが確認された。
被害者側に職員の動員を伝えておらず、一般傍聴席に座れなかった保護者がやむを得ず特別傍聴席で傍聴したこともあった。
中には集団傍聴に疑問を感じ、傍聴を命じられた際には休日を取得して傍聴に向かった職員もいたという。
だが、令和元年に行われた動員例を伝え聞き「動員はやるもの」と考えていた管理職もおり、市教委側から傍聴席を埋める対応をとることを打診していた事案もあった。市教委教職員人事部の村上謙介部長は「やはり一つ目の案件の影響があった」と振り返った。
市教委の下田康晴教育長は「今後、再発防止に向け、コンプライアンス意識の向上、ガバナンス強化を含む抜本的な改革に取り組んでいく」とのコメントを発表した。一刻も早い信頼回復が待たれる。(橋本謙太郎)