秋田県は24日、7月1日現在の県人口が前月比984人減の89万9314人となり、90万人を割り込んだと発表した。80万人台となるのは1920年以来、104年ぶり。県人口は100万人を割り込んだ2017年以降、7年余りで10万人減った。(田辺研吾)
県が発表した「秋田県の人口と世帯」によると、6月は死亡数(1183人)が出生数(211人)を972人上回る「自然減」となった。また県外への転出者が719人、県内への転入者が707人で、12人の「社会減」だった。
県の「秋田県人口ビジョン」と総務省の「人口推計」によると、県人口は1921年に90万人、31年に100万人を突破。戦後の「第1次ベビーブーム」(47~49年)を経て56年にピークの約135万人となり、その後は減少傾向に転じた。
高度経済成長期には、大都市への集団就職に伴う中学、高校卒業者の県外転出などで毎年2万人前後の社会減を記録。出生数は第1次ベビーブーム期の約4万8000人をピークに減少が続き、93年に初めて自然減状態となった。
社会減と拡大する自然減により、県人口は2009年に110万人、17年には100万人を切った。その後は年間1万5000人程度のペースで減り続け、今月までの7年余りで10万人減り、90万人の大台を割り込んだ。
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近年の県人口の減少は、自然減によるところが大きい。23年9月までの1年間の減少人数1万6401人のうち、自然減が1万3909人と8割強を占めた。同期間に1万7669人が亡くなった一方、出生数は3760人にとどまった。
県は出生数の改善に向け、出会いから結婚、出産、子育てに至るまでを支援している。ただ、厚生労働省の人口動態統計(概数、23年)では、1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数「合計特殊出生率」は1・10で過去最低を記録。出生数も29年連続で全国ワーストとなるなど厳しい数値が並ぶ。
秋田県が今年5月に県内の若者に行ったアンケート(回答数740件)では、「結婚は考えていない」との回答が未婚者の35%を占めるなど、結婚しない、子どもを持たないという意識も広がりつつある。県は「婚姻数や出生数として見える形で表れるようになるまでは、一定程度の継続が必要」と粘り強く取り組む考えだ。
光明が見えるのが社会減だ。02~19年に3000~6000人台だった社会減は20年に2910人に縮小されると、以降は毎年2000人台で推移。直近5年間の社会減の改善度合いは東北地方でも上位に位置している。
県では、洋上風力発電や情報技術(IT)、輸送機など成長産業の立地・集積という将来を見据えた動きや、高校生や大学生らの県内就職支援に取り組んできた結果とする。さらに昨年10月には移住相談拠点「アキタコアベース」を東京に開設し、移住者の増加による社会減の抑制を目指している。
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国立社会保障・人口問題研究所(社人研、東京)が23年に公表した「地域別将来推計人口」で、県人口は50年に56万429人になると予測されている。20年比で41・6%の減少率で、全国平均(17・0%)を大きく上回り、全国ワーストとなっている。
知事「ペース速く危機感」
秋田県の人口が90万人を割り込んだことを受け、佐竹知事は24日に報道陣の取材に応じ、「統計的に分かりきったことだが、大台を切ることは非常にさみしい。ペースが速いので、相当危機感を感じざるを得ない」と述べ、引き続き人口減少対策に取り組む姿勢を示した。
給与水準の高い成長産業の企業を誘致するなど、若者の受け皿となる経済基盤の整備が効果的だとし、「(地元の)中小企業対策をしっかりやりながら、良い企業にどんどん来てもらう。若い方に魅力のある職場を作っていくことが必要かなと思う」と話した。