(森拓磨アナウンサー)
長島カイセツは、6日の平和記念式典について解説してもらいます。
(長島清隆解説員)
広島市は各国の大使に、平和記念式典の招待状を送っていますが、109か国とEU代表部が参列すると回答があったということです。
核保有国あるいは核を持つとされる国ではアメリカ・イギリス・フランス・インド・イスラエルが出席します。
広島市は今年もロシアとベラルーシには招待状を送っていません。
一方で、戦闘が続くイスラエルとパレスチナについては、イスラエルは招待し、パレスチナには招待状を送っていません。
これまでもお伝えしてきたように、ロシア・ベラルーシを招待しない理由について、広島市の松井市長は、式典の円滑な遂行に影響を与える可能性があるからとしています。
【VTR 】
ロシアがウクライナに侵攻して約半年後のおととし8月、広島市はロシアを式典に招待しませんでしたが、ロシアの駐日大使は式典の2日前に広島に来て、一方的な主張をしました。
★ロシア・ガルージン駐日大使(当時)
「アメリカが行った原爆という戦争犯罪の犠牲者の方々のご冥福を祈るために(来た)」
「ロシアは核軍縮・核兵器廃絶に向けて行われている努力のリーダーです」
松井市長はこうした姿勢が変わらないことも、招待しない理由に挙げています。
■広島市 松井市長(今年8月1日)
「ロシアについては、当時、私自身、お呼びして、式典を開催するときに、式典の開催が平穏に行かない可能性があるからということで、ロシアが今もその態度を変えておられないので。態度ですよ。紛争してるかどうかじゃなくて、 態度を変えておられないということで、呼んでないということです。」
【スタジオ】
(馬場のぶえアナウンサー)
市長の言うように、自分たちに都合のいい主張を祈りの場でされるのは、広島の立場としては腹立たしい、と同時に、そういう国も含めて、広島に来て被爆の実相に触れることも大切。
(長島解説員)
外交は、どんな国も常に自分たちの国益のために、自分たちに有利な主張を展開するものです。
たとえ慰霊の場だとしても、自分たちの主張をするなというのも難しいのが現実です。
(森アナウンサー)
一方で、イスラエルは招待し、パレスチナは招待しないんですね。
(長島解説員)
駐日パレスチナ常駐総代表部はXでこのように非難しています。
広島市はイスラエルを平和記念式典に招待することを選択しましたが、パレスチナに対してはそうではありません。過去76年間、大量虐殺、民族浄化、占領が続いているパレスチナを招待しないのは衝撃的です。この決定はダブルスタンダートです。
どうして、このような状況になったのか、広島市の式典に各国を招待するようになった歴史を振り返ってみます。
広島市は
1998年に核保有国の駐日大使に参列要請
2005年に核軍縮推進国の首脳に参列要請
2006年からすべての駐日大使に参列を要請するようになりました。
この、「すべての駐日大使」は、日本政府が国家として承認している国を対象としているんです。
パレスチナを、日本政府は承認していません。つまり、国家承認していないから呼んでいないだけで、どちらかを評価しているわけではないとしています。
(森アナウンサー)
もう一つの被爆地、長崎市はどうなんですか?
(長島解説員)
長崎市はイスラエルについて、「式典を円滑に開催するため」招待していません。
しかし、パレスチナは招待状しました。長崎市は国家として政府が承認していなくても、日本に代表部を持っているところも招待するということです。
(森アナウンサー)
どこを招待して、どこを招待しないか。それぞれ色んな考えがあるから難しいですね。
(長島解説員)
広島市は「迎える平和」を掲げていて、すべての国を招待するのが基本的なスタンスのはずです。
松井市長は政治的な判断をしているわけではないとしています。
【VTR】
■広島市・松井市長
「私はアンパイア、審判員でもないわけであります。どこの国が正しいとか悪いとか 言ってるわけじゃない。今までのやり方を踏襲したと申し上げたら、なぜ呼ばないのかということで、長崎のように何で見直さないのかというご質問になるわけでありますね。ですからそれはやっておりませんし、やらなかったことについて、私自身別に不自然なことはありません。」
(長島解説員)
とはいえ、様々な意見が出ていることを受けて、来年の式典からは参列要請の方法を見直すということです。
【2024年8月5日放送】