「帰れ、帰れ!」原爆の日・平和記念公園で怒号、広島市の警備強化に反戦・反核団体が猛反発

米軍の原爆投下から79年となる6日、広島市の平和記念公園では午前8時から記念式典が開かれる。市は今年、公園内の規制を強化し、式典開催中の大規模な集会を事実上禁じた。同日早朝、規制のため公園の利用者をいったん外に出そうとしたが、「反戦・反核」を訴える団体は拒否。「集会弾圧を許さないぞ」などとシュプレヒコールし、公園内には怒号が響きわたった。
午前5時前、市職員は「慰霊の場になります。公園外に移動してください」と公園の利用者に呼びかけた。しかし、原爆ドーム前では、「中国侵略戦争反対」「改憲戦争阻止」などと書かれたプラカードやのぼりを掲げた数百人が腕を組んでかたまり、移動を拒否した。
市職員は繰り返し「慰霊の方々の場所を奪わないでください」と呼びかけたが、団体側は「帰れ、帰れ」と何度も大声で一斉に叫び、「(規制の)法的根拠を示せ」と怒声をあげながら、抵抗を続けた。団体は、毎年、8月6日に原爆ドーム周辺で拡声器を用いた大規模集会を開いてきた「8・6ヒロシマ大行動実行委員会(大行動)」。
市は昨年まで、式典会場周辺のみで入場規制や手荷物検査を実施していたが、今年は対象を公園全域に拡大。午前5時に公園利用者をいったん外に出し、6時半から手荷物検査を経て公園内に入れるよう警備を強化した。入園にあたり、拡声器やプラカードなどの持ち込みを禁じた。
大行動には、過激派「中核派」の活動家も関わっているとされる。数年前からはこれに対抗する団体も出現し、「静かに」と書かれたプラカードを掲げて対峙。昨年は大行動のメンバーが、強引に集会場所を確保しようとしたため、広島県警が今年2月、暴力行為法違反の疑いで中核派活動家の男5人を逮捕。別に団体同士の衝突も起き、2人がけがをしていた。
市は同種事案の再発防止のため、規制の強化に踏み切ったが、大行動側は市の規制について「法的根拠が曖昧」と反論。交流サイト(SNS)で5日深夜から座り込みを続けるとともに、例年通りの集会強行を宣言していた。

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