イスラエル不招待に長崎市長「政治的理由でない」 対応は変更せず

長崎原爆の日(9日)に長崎市が開く平和祈念式典を巡り、市がイスラエルを招待しないことを受けて米英の駐日大使が相次いで欠席を表明したことについて、鈴木史朗市長は8日、報道陣の取材に「政治的な理由で招待しないのではなく、あくまでも平穏で厳粛な雰囲気の下で式典を円滑に実施したいというのが理由だが、その真意が十分に伝わっていない」と語った。イスラエルを招待しない対応については変えない考えを示した。
イスラエルの招待を巡って、鈴木市長は6月、同国によるパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃を踏まえて「日々、情勢が変化しており、推移を見極める必要がある」として判断を保留。在日イスラエル大使館に、即時停戦を求める▽現時点での招待を見合わせる▽招待に支障がないと判断した時点で速やかに招待状を出す――といった内容の書簡を送った。鈴木市長は7月31日、「現時点でも式典で不測の事態が発生するリスクへの懸念に変わりはなく、苦渋の決断だ」としてイスラエルを招待しないと発表した。
主要7カ国(G7)のうち日本を除いた米欧6カ国と欧州連合(EU)は7月19日付で、イスラエルを招待しないことに懸念を示す書簡を長崎市に送った。鈴木市長は8日の取材で、書簡を受け取っていたことを明らかにしたうえで「各国にできるだけ大使の参加をお願いしていたので、大使に参加していただけないのは残念だ」と述べた。
英国のロングボトム駐日大使は6日、長崎の式典を欠席し別の職員を派遣すると表明。在日米大使館も7日、エマニュエル駐日大使が欠席し、在福岡米領事館の首席領事が参列すると明らかにした。【尾形有菜、樋口岳大】

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