「今、複数の同僚議員からそういう声をいただいているのは事実。それをしっかりと受け止め、自分で最終的には判断したい」
9月に予定される自民党総裁選を巡り、17日、新潟県燕市内で記者団の質問に対してこう答えた小林鷹之・前経済安全保障相(49)。19日にも会見を開き、立候補を表明するとみられる。
「ポスト岸田」として注目が集まる小林氏。TVメディアは早速、「話題になれば何でもいい」とばかり、小林氏を「コバホーク」「若手のホープ」などと持ち上げ始めているのだが、良識ある有権者には忘れてほしくないことがある。小林氏は自民党との不適切な関係が指摘された旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)と近しい関係にあるのではないか、とメディアに報じられていたことだ。
東京新聞は2022年8月10日付の記事で、小林氏が21年7月に旧統一教会の友好団体が共催したイベントに出席し、参加者らと記念撮影をした写真を掲載。イベントは小林氏の地元・八千代市で開会式が行われた「ピースロード2021in千葉」で、開会式に出た男性の話として、<ほとんどが旧統一教会の信者だった>と報道。小林氏は来賓として2分間ほどあいさつし、その際、<旧統一教会の教義に共感を示すような発言をした>と語っていたという。
東京新聞の取材に対し、小林氏は「一言一句は覚えていないが、発言はしていないと思う。旧統一教会の教えを存じ上げないので、それを肯定するような発言はしていない」と答えたというのだが、当時、旧統一教会との接点が問題化し、その後、説明が二転三転した揚げ句に大臣辞任に追い込まれた山際大志郎・経済再生相(55)のケースと変わらない。
■脱法・違法行為を繰り返していた議員のどこが優秀なのか
小林氏は今年7月下旬の「BSフジ」の番組に伊吹文明元衆院議長(86)と出演した際も、「保守とは」について、「それは自助自立の気概、公への貢献、勤勉さ、謙虚さ、地域や家族の絆など」と持論を展開。「自助・公助・共助」を強く訴えていた政治家と言えば菅義偉前首相(75)だが、教義で「家族の絆」などを必要以上に強調しているのは旧統一教会だ。
小林氏はまた、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件について、最大派閥安倍派(清和政策研究会)の所属議員が要職から外された状況に触れ、「処分を受けた方も一人一人は優秀だ。挙党一致で取り組まないと国難を乗り越えるのは難しい」と振り返っていたが、脱税が指摘される脱法・違法行為を繰り返していた議員のどの部分が「優秀」なのか。さらに「国難」とは誰にとってなのかは多くの国民が疑問に思うところではないか。
そもそも、TVメディアが「ホープ」と取り上げるほど優秀であれば、違法・脱法行為を繰り返していたことが発覚した時点で、とっくに自民党に三行半を突きつけているだろうし、岸田文雄首相(67)が退陣表明する前に倒閣運動を起こしていても不思議ではない。
国民は小林氏を「シン・保守」などと煽るTVメディアの「お祭り報道」を鵜みにしないよう注意することが大事だ。
◇ ◇ ◇
●関連記事【もっと読む】【さらに読む】では、自民党総裁選をめぐるドタバタ劇を取り上げている。