東京電力福島第1原発で事故後初の溶融燃料(デブリ)の取り出しが始まるのを前に、東電福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者の小野明代表が産経新聞のインタビューに応じた。難航が予想されるデブリの試験採取について「世界でも例がない、難易度の高い作業になる」との見通しを示した。
デブリの回収作業は、試験採取を経て段階的に規模を拡大し、2030年代初頭に3号機で大規模な取り出しに着手する計画だが、具体的な取り出し工法や回収後の処分方法などは決まっていない。
小野氏は「安全性と確実性というのは、私たちが納得いくまで追い求める必要がある。どんな大きな川も最初は1滴からなんだと思う」と述べ、2号機で始まる試験採取が今後の大規模取り出しを検討する上で重要な一歩になるとの考えを示した。
デブリの試験採取を巡っては、当初計画より開始時期が既に3年遅れ、工法の変更も余儀なくされた。政府と東電が2051年までの完了を目指す廃炉工程への影響も懸念されるが、小野氏は「事故から13年が経ち、いろいろなことが分かってきた。目標達成に向けて議論する材料も集まりつつあるが、経験と成果を積み重ねながら、もう少し時間をかけて考えていきたい」と述べるにとどめた。