能登半島地震で倒壊した石川県輪島市の7階建てビルについて、9月にも公費解体に着工する方向で調整していることが23日、同市などへの取材でわかった。横倒しになったビルの上層階から段階的に解体し、国が同時並行で倒壊原因の調査を進める。
ビルは同市河井町の朝市通り近くの鉄筋コンクリート造り7階建てで、漆器会社が社屋として使っていた。倒壊時に隣接する飲食店兼住宅を押し潰し、住民の女性2人が死亡した。
ビルは下層階の一部が地面にめり込むように倒れており、国土交通省は倒壊の原因には基礎、地盤の状態が関係しているとみている。市によると、漆器会社がビルの公費解体を申請しているが、解体時に地盤や基礎の状態が変化して調査に影響する可能性があり、市と国交省が工法などを慎重に検討していた。
一方、地元住民からは早期の解体・撤去を望む声が上がっていた。市環境対策課は「9月中の着工に向けて調整している」としており、漆器会社と飲食店の双方から了承を得た上で、工事を始める方針だ。一定程度解体した後、国交省が基礎部分の詳細な状況を調べ、原因究明を進める。